2008 Fiscal Year Annual Research Report
複合荷重下での大規模延性破壊シミュレーションシステムの構築
Project/Area Number |
19560100
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菊池 正紀 Tokyo University of Science, 理工学部, 教授 (90107540)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 金属物性 / 計算機システム / 構造・機能材料 / 破壊力学 |
Research Abstract |
(1)昨年の成果を踏まえて、ボイド発生モデルを見直した。ボイド発生鋼として、応力支配型の項を追加したところ、き裂進展方向に明らかな影響がみられた。そこでこの新しいモデルの材料定数の同定を行った。(2)そのために、最も単純な丸棒の引張り試験を実施し、カップコーン型の破壊のシミュレーションを行った。この実験結果と定量的に一致するよう、新しいモデルの材料定数を同定することができた。(3)その材料定数を用いて混合モード負荷での破壊シミュレーションを行った。その結果、シヤリップ領域を含む試験片全体での破壊挙動がよくシミュレーションできた。き裂進展方向の板厚による変化、ディンプル径の板厚方向分布等、実験結果を定性的、定量的によく説明できる結果が得られた。(4)次いで対象をステンレス鋼に変えて同様の破壊シミュレーションを行った。材料が変わると、Gursonの構成方程式で用いられる材料定数も変化する。そこでまず、これらの定数を同定する一般的な方法について検討し、カルマンフィルタを用いた同定手法を作成した。これを過去の材料にあてはめたところ、過去に使用して材料定数の妥当性が確認できた。またステンレス鋼の材料定数も同定することができた。(5)ステンレス鋼の破壊挙動のデータは電力中央研究所からご提供いただいた。それによればステンレス鋼の破壊挙動は板厚による影響が大きく、また試験温度による違いも大きい。現在のモデルでは板圧の影響は評価できるが試験温度の影響は評価できないため、この点の検討が今後の課題である。(6)前年度、および本年度の研究成果を、日本実験力学学会、日本機械学会、日本計算工学会、等の国内学会で、また国際学会FDM08で、中国の西安交通大学、新彊大学等で発表した。
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