2007 Fiscal Year Annual Research Report
希土類系イオンの磁気モーメント作用によるピンニングセンター研究の新展開
Project/Area Number |
19560325
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
中村 嘉孝 Hachinohe National College of Technology, 電気情報工学科, 准教授 (00290685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向田 昌志 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50302302)
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Keywords | 酸化物高温超伝導薄膜 / スパッタリング法 / ピン止めセンター / 臨界電流密度 / 電磁石 / 強磁場 / 希土類酸化物 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
超伝導材料は電気抵抗がゼロのため、電流を流してもジュール熱などエネルギーの損失なしに電力を送電することが出来る。また、1[cm^2]面積当たり数MAの電流を流しても、電気抵抗はゼロの状態、つまり、超伝導状態を保つことが出来る。そこで、超伝導線材で電磁石を作ると強磁場を作り出すことが可能となる。しかし、強磁場中で超伝導状態を保持するにはピンニングセンターと言われる量子化磁束の運動を止める不純物を添加する必要がある。そこで、本研究ではピンニングセンターの材料として、磁気モーメントの大きな希土類酸化物、希土類金属のナノ粒子を導入することで、磁場中の臨界電流密度Jc(電気抵抗がゼロの状態で流すことが出来る最大の電流密度)を高くし、等方的なJcを持ったGdBCO超伝導薄膜を開発する事が目的である。H19年度は、純粋なGdBCO超伝導薄膜において、自己磁場中のJcが4.26[MA/cm^2]、臨界温度Tc=91.8[K](電気抵抗がゼロになる温度)の薄膜を作製できた。また、希土類酸化物RE203(RE=Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er)をドープしたところ、希土類元素REの原子番号の増加と共にJcが向上し、純粋な薄膜より約4桁も向上することが明らかになり、また、有効ボーア磁子数と相関がある事も見えてきた。また、金属Gdをドープする事で、磁場中Jcは10Tまでの印加磁場中でも超伝導状態を保ち、強磁場にも強いピンニングセンターになる事が分かった。
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