Research Abstract |
本研究の目的は,島嶼地域における社会資本の維持管理のために,実際の大型鋼構造物の大気腐食環境評価を行い,適切な寿命評価を行う手法の確立を目指すものである.そこで,沖縄県内の実橋梁において従来型(Fe/Ag対)と長寿命型(Zn/Ag対)のACMセンサを用いて部位別の腐食モニタリングを行った。同時に月毎の海塩付着量と暴露した鋼板の腐食速度も求めた。得られた結果は以下の通りである。雨のかかりにくい内桁では,フランジ上面を除くと,年間を通してもさほど部位に関係なくセンサ出力は小さいままである。外桁では,降雨時のセンサ出力は大きいが,それ以外では内桁のフランジ上面と同程度である。しかし,長期のFe/Ag対とZn/Ag対を比較すると,内桁のフランジ上面では,Zn/Agセンサの出力が大きいものの,外桁では,ほぼ同程度の出力であり,部位により両センサに相違が見られた。毎月の海塩付着量はフランジ上面を除く内桁では,9月〜3月よりも4月〜8月にかけて多い傾向にあり,約10〜20mg/m2程度であった。風速,風向との対応を検討する必要がある。また,長期間になると付着量は増加していくことが判明し,1年間では約50mg/m2であった。外桁では降雨の影響を受けやすいため,変動が大きいが,30〜50mg/m2であり,フランジ上面では,100mg/m2と最も多い。長期では,暴年間では1000mg/m2と最も多く,外桁では100mg/m2とほとんど変化しなかった。鋼板の腐食量も海塩付着量が多い部位では腐食量も大きく,毎月の付着海塩量と良い相関関係にあったが,外桁は降雨の影響があるため,その関係から外れた。長期のセンサ出力と腐食量の関係は,センサ出力が大きいほど,腐食量も大きくなり,両者には正の相関関係が得られた。
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