2007 Fiscal Year Annual Research Report
汽水湖の塩分成層と栄養塩循環の構造解明とその予測モデルの開発
Project/Area Number |
19560507
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
信岡 尚道 Ibaraki University, 工学部, 講師 (00250986)
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Keywords | 汽水湖 / 水質 / 生態系数値モデル / 栄養塩 / σ座標 / 植物プランクトン |
Research Abstract |
貴重な天然の汽水湖として残っている茨城県涸沼の中央部において沈降する懸抱物の成分として,窒素,リン、炭素と植物色素を流速測定と合わせて中層と下層で調査して次のことを明らかにした。沈降量は秋から冬にかけて若干の低下しかみられなかった.その沈降物は,植物色素と相関性があり植物プランクトン由来であると推定される結果を得た.下層ほど沈降量が多くなる結果も現われ,それは植物プランクトンのみでは説明できないことから底質の巻上げが下層の懸濁物に含まれていると考えられた.しかし,下層の懸濁物および懸濁態有機炭素に含まれるリンの割合は上層より低い結果となった.水質数値モデルを改良する際に懸濁物の構成要素の変化を考慮すべきであることを明らかにした. 生態系モデルの再現性向上についても実施した.主たる改良点として,植物プランクトンの種として最適増殖水温が異なる代表的な3種の導入,涸沼の中で大きな資源量割合を占めるヤマトシジミの導入である.これらの導入によって,夏場のCOD,全窒素,植物プランクトンなどの値が観測値に大幅に近づいた.また珪藻類の効果で,春先の植物プランクトンの再現性も向上した.まだ再現が不十分な点として冬季の全窒素とCODがあり,特に窒素については流入負荷とともに脱窒を観測値から推定していく必要性,あと珪藻類の増殖温度関数の再評価必要性が残った.さらに,数値モデルの計算方法の重要な開発点である密度成層もリファレンス面を持つ複合σ座標系の基礎部分の開発も進めた.
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