2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダム下流河道への仮置き土砂供給による低水路の変動と砂礫の分級効果に関する研究
Project/Area Number |
19560521
|
Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
三輪 浩 Maizuru National College of Technology, 建設システム工学科, 准教授 (70190832)
|
Keywords | 蛇行低水路 / 河床低下 / 河床回復 / 置き土砂 / ダム放流 / フラッシュ / 澪筋変動 |
Research Abstract |
河川にダムが築造されると,下流域において河床低下や低水路の固定化などの問題が生じる.これに対する方策の一つとして本研究では置き土砂による土砂供給に着目し,その効果的な運用方法を確立するための基本的な検討を行うことを目的としている.本年度は一様砂河床を対象として,主として置き土砂の設置位置による土砂供給効果について検討した.得られた主要な結果を以下に要約する. 1.流れの速い場所に設置した置き土砂は,河床低下に対して高い抑制効果を示す.また,浮州に接岸しない置き土砂は,河床低下の抑制効果が遅れて現れるため,置き土砂自体の侵食・流送の点では低効率である.なお,置き土砂位置によって異なる侵食・流送特性や河床低下の抑制効果が現れる時間差を利用すると,ダム等からの放流量や放流時間間隔と置き土砂の設置位置との組み合わせによって効率的な置き土砂方法の検討が可能となる. 2.置き土砂の設置によって水の流れや流砂方向が変化し,低水路が変動するため,効果的な置き土砂は低水路の変動を促進させる効果がある.また,流れの速い場所に設置した置き土砂に対して,遅い場所では澪筋の変動量が相対的に大きい.したがって,生態系を保持するなど,低水路に比較的緩やかな変動が必要な場合は流れの速い場所への置き土砂が適当であり,澪筋の固定化を改善するなど,活発な変動が低水路に要求される場合は流れの遅い場所への置き土砂が適当であると考えられる. 3.流れの速い場所への置き土砂では,河床侵食の進行に伴って低水路深さが増加する.したがって,低水路深さの増加抑制の観点からは,流れの遅い場所への置き土砂が有利である.ただし,この位置は置き土砂の侵食効率の点で課題があるため,流れの速い場所への置き土砂を基本として設置し,その置き土砂が流送された後,速やかに次の置き土砂の設置法を検討することが必要である.
|