2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560534
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 雅史 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20195077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 嘉史 岐阜大学, 工学部, 准教授 (90378810)
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Keywords | 景域形成 / 水みち / 京都盆地 / 微地形 / 水路網 |
Research Abstract |
本研究は,京都の小規模河川や水路の総体である「水みち」を対象とし,その中に配置された庭園をはじめとする各種の生活・文化に基づいた利用法や形態を調査し,それらが京都盆地における景域の形成に果たした役割を明らかにすることを目的とする. 本年度では,前年度に引き続き堀川水系や禁裏御用水周辺について,詳細の構成および利用実態を把握する.そのためヒアリング調査と古地図や古文書などの史料分析と,現地踏査や簡易測量による空間調査を行い,配置される遣り水庭園の詳細な構成や水の利用に関して,情報を整理した.続いて,流域における治水・利水を含めた周辺のアメニティ利用について,歴史的な文献・資料を用いて,水みち沿線に景域が形成されてきた実態を整理した.具体的には主に以下の2点について明らかにした. A.灌概のための用水網の景域把握 灌漑のための利用は,特に前近代においては広範囲に渡り,水を地域に分配し巡らすシステムが発達していたものと考えられる.この水を廻すシステムが景観としてどのように人々の経験と関連してきたのかを,史的記述及び物理的情報を手がかりに明らかにした.また,その他の積極的利水が行われている部分にも着目し,その利水のシステムが景観としてどのように人々の経験と関連してきたのかを,史的記述及び物理的情報を手掛かりに明らかにした. B.庭園林泉の遣水としての水みちの景域把握 庭園内部では,様々に水の流し方,溜め方が工夫されており,設計意図が形に表れているために人との関わりが比較的把握しやすい.加工された水みちにあり方とアクティビティの実態を詳細に観察して関係を明らかにし,系における役割を考察した. 以上の各要素が,ひとつながりの水みちの系の中に位置づけられている構造を示し,それぞれの要素の接続の工夫を明らかにした.
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Research Products
(4 results)