2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560697
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤居 俊之 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (40251665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾中 普 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40194576)
加藤 雅治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (50161120)
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Keywords | 電子・電気材料 / 銅合金 / 導電性材料 / 材料組織 / 時効析出 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で,強度と導電性のバランスに優れた特性を示すCu-Co-Si合金に焦点を絞り,溶体化処理温度域での溶質原子の固溶度を確定する実験を行った.電気抵抗測定から得たCu-Co_2Si擬二元系の1050℃における固溶度は,2.13at%となり,これまで報告されていた値より小さいことが明らかとなった.固溶度を超えるCoおよびSiを合金化した試料では,溶体化処理温度を1000℃以上に設定すると,焼き入れ過程でCo_2Si粒子の粒内析出,粒界析出が生じ,さらに時効を行うと粒界析出粒子の粗大化にともない,時効試料の延性が低下することを見いだした.合金の強度と導電率のバランスのみに着眼すれば,強度700MPa以上,導電率55%IACSの特性を熱処理のみによって引き出すことは可能である.本研究では,溶体化処理温度に加えて,溶体化処理温度での等温保持時間に依存して,焼き入れ試料の導電率や強度に違いが生じることも明らかにした.これらの性質は,Cu-Co-Si合金に特有の性質であり,工業上は溶体化処理条件に大きな制約が生じることを示唆している.Cu-Co-Si合金を実用合金として設計するに当たっては,CoおよびSi濃度を固溶限以下におさえ,溶体化処理時の析出を抑制することが必須となる.さらに,時効処理,加工熱処理等の組み合わせにより,導電率を向上させれば,本合金の本質的な性能を引き出すことが可能となることが明らかとなった.
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Research Products
(10 results)