2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19560703
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 正隆 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (50324801)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / 空孔 / 格子欠陥 / 理論計算 |
Research Abstract |
代表的な水素吸蔵合金LaNi_5について、水素吸放出による水素吸蔵量の低下を抑制するとの報告があるSnの占有サイトを第一原理計算により評価した結果、Ni3gサイトを優先的に占有するという結果が得られた。これは実験による報告と一致する結果である。次に、Ni3gにSnが占有した場合におけるLaNi_5水素化物の空孔形成エネルギーを求めた結果、Snを添加しない場合に比べて約0.leV空孔形成エネルギーが上昇した。従ってSnは水素吸蔵過程での空孔形成を抑制する働きがあることが分かった。続いて、LaNi_5の水素放出過程における空孔形成能を第一原理計算により評価した。水素放出過程では水素が空孔にトラップされる可能性があるが、空孔と水素の結合エネルギーを求めた結果、2個の水素がNi空孔にトラップされる可能性があることが分かった。空孔と水素の結合エネルギーの影響で水素がトラップされると空孔形成エネルギーは低下するが、2個の水素がトラップされた状態では空孔形成エネルギーが負の値になった。すなわち、水素放出過程では空孔に水素がトラップされることにより空孔が安定化し、水素放出後も空孔が水素をトラップした状態で安定して存在することにより水素吸蔵量低下の原因となると考えられる。また、Snを添加した場合の水素放出過程での空孔の安定性を評価したところ、空孔にトラップされた水素とSnとの間に斥力が働き、水素と空孔との結合エネルギーが低下することが分かった。空孔での水素の不安定化はSn添加により水素吸放出による水素吸蔵量の低下が抑制される一因になっていると考えられる。
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Research Products
(7 results)