2009 Fiscal Year Annual Research Report
水生動物の左右性のダイナミクスと遺伝システムの進化
Project/Area Number |
19570020
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
高橋 智 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 准教授 (70226835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 惠次 奈良女子大学, 共生科学研究センター, 教授 (80127159)
堀 道雄 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40112552)
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70192052)
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Keywords | 左右性 / 不和合性 / 頻度依存選択 / 進化 / 振動 |
Research Abstract |
魚類の左右性の遺伝は飼育交配実験の結果からメンデル遺伝に近いが,左利きペアおよび左利きと右利きのペアの子に右利きが含まれることから左利きホモが存在しないと考えられる.左利きホモを阻止する遺伝的不和合性の進化をモデルによって調べた.昨年度までの研究で餌への捕食の影響が強い場合にグループ産卵を行う種では不和合性遺伝子が集団全体に広まり左利きホモが消失すること,ペア産卵を行う種では左利き遺伝子を持つ配偶子の接合を完全に防ぐ完全不和合性モデルでは不和合性遺伝子は広まらないが,左利き遺伝子を持っ配偶子の接合が完全には阻止されない不完全不和合性モデルでは,不和合性遺伝子がある程度広まった状態に落ち着くことが示された.今年度の研究では左利き遺伝子を持つ配偶子の接合比率(和合性)を様々に変えた不和合性遺伝子を考え,不和合性の全くない状態からどのように不和合性が進化していくのかを調べた.様々な強さの和合性を考えることで,一つの不和合性遺伝子が集団中で固定する状態に最終的に落ち着くことがわかった.集団中に固定する不和合性遺伝子の和合性の強さは,捕食者が利きの異なる餌を捕食する交差捕食の割合,捕食の餌への影響の強さ等により異なり,交差捕食の割合,捕食の餌への影響が強い左右性の振動が大きくなる条件で,ペア産卵でも和合性が0で左利きホモが存在しない状態へと進化していくことがわかった.また,バクセンシオマネキの左利き個体の割合の時間変化が性染色体上の左右性遺伝子によって説明できることをあきらかにした.エビの左右性の遺伝を説明するモデルについても考察を行った.
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Research Products
(16 results)