2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物のG2/M期遺伝子の転写制御に関わる未知因子群の探索
Project/Area Number |
19570034
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正樹 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (10242851)
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Keywords | 細胞周期 / サイトキネシス / 転写制御 / 植物 / 細胞増殖 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
植物にはMyb転写因子をコードする大きな遺伝子ファミリーが存在する。その中で、R1R2R3-Mybと呼ばれるグループはG2/M期遺伝子の上流域に存在する共通のシスエレメント(MSAエレメント)に結合して転写を制御している。植物のR1R2R3-Mybは4個のグループに分類することができる。本研究では転写活性化因子としての機能を持つA-type Mybの周辺で働く新奇因子群の遺伝学的な同定を目指して研究を行った。 1. シロイヌナズナには2つのA-type Myb遺伝子が存在するが、そのうちの一つ(MYB3R4)が破壊された株では、G2/M期遺伝子の発現の低下により弱いサイトキネシスの異常を示す。この異常を促進する自然変異が野生型ランズバーグ株に存在することがわかったため、原因となる遺伝子をマップベースクローニング法により同定した。原因遺伝子ANP3は、サイトキネシスを正に制御するMAPKKKであることがわかり、A-type MybがANP3の働くMAPKカスケードの制御に機能を持つことが示唆された。 2. A-type Mybと同様の機能を持つ未知因子を同定するため、myb3r4変異体の種子に突然変異誘発処理を行い、サイトキネシスの異常の程度を促進するエンハンサー変異体の単離を行った。5000個体のM2世代植物をスクリーニングし、計61株の変異体を単離した。このうち、少なくとも3株では、サイトキネシスの異常がmyb3r4変異に依存すること、またG2/M期遺伝子の発現の低下が見られることから、目的とする因子に変異を持つ可能性が考えられた。今後、複数株から原因遺伝子の単離を行う予定である。
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