2007 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類メラノコルチン受容体アンタゴニストの生理機能解析
Project/Area Number |
19570059
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 栄 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20226989)
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Keywords | メラノコルチン / ホルモン調節系 / ASIP / AGRP / エネルギーホメオスタシス / 羽色制御系 / ニワトリ |
Research Abstract |
メラノコルチン調節系は,POMC(プロオピオメラノコルチン)を前駆体タンパクとして産生されるメラノコルチン(メラニン細胞刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモン),その受容体であるメラノコルチン受容体,およびメラノコルチン受容体アンタゴニストであるASIP(アグチシグナルタンパク)とAGRP(アグチ関連タンパク)で構成されている。本研究ではASIPを含むメラノコルチン調節系の羽色制御機構への関与,およびASIPとAGRPを含むメラノコルチン調節系のエネルギーホメオスタシス制御への関与を検討することを目的とした。RT-PCR解析の結果,羽色の雌雄差がみられるニワトリ第3世代羽においてASIP発現の性差が観察された。これは,ASIPが羽色の雌雄差に関わっていることを示唆する。また,このASIPの発現の性差がASIPの特定のプロモーターの働きに起因する可能性が示唆された。2種類のプロモーターに起因するPOMC mRNAバリアントが羽形成の場である羽包において,異なる組織分布を示すことが明らかとなった。これにより,POMCに由来するメラノコルチンが羽包において複数の生理機能を持つ可能性が示唆された。ニワトリに48時間の絶食を負荷し,視床下部摂食中枢に発現するPOMC,およびASIPの発現変化をリアルタイムPCRにより調べた。その結果,摂食行動を抑制するとされるメラニン細胞刺激ホルモンの前駆体であるPOMCの発現は有意に現象したが,ASIPの発現に有意な変化は観察されなかった。ニワトリの視床下部に発現するASIPはエネルギー恒常性維持機構に関与しない可能性が示唆された。一方,脂肪組織におけるASIPの発現は,絶食負荷により低下した。ASIPはヒトの脂肪組織において脂肪蓄積や脂肪細胞の増殖・分化に働くことが報告されている。ニワトリにおいても同様な生理機能をもつ可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)