2008 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類メラノコルチン受容体アンタゴニストの生理機能解析
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19570059
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 栄 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (20226989)
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Keywords | メラノコルチン / アグチシグナルタンパク / アグチ関連タンパク / 摂食制御 / 羽色制御 / インバースアゴニスト / ニワトリ |
Research Abstract |
1.羽装色パターン形成へのASIPの関与:ニワトリの雌は雛から成鳥へと成長する過程で一貫して逆影と呼ばれる保護色パターンを示すが,雄は雛のときは雌と同じであるが,成鳥へと成長すると性的誇示のための婚姻色パターンを示すようになる。このような性や成長による羽装色パターン変化の仕組みについては不明であった。本研究では,進化的に保存されたASIP遺伝子のプロモーターの働きによって逆影パターンが形成されるとともに,雄に特異的な婚姻色パターンの形成にもこのプロモーターが深くかかわっていることを明らかにした。体色の性差発現の分子機序に関する初めての知見である。より複雑な体色発現の分子機構を解明する上で貴重な知見となる。 2.ニワトリの多色原因の探求:ニワトリは食餌制限しないと多食に起因するさまざまな障害を発症する。この多食原因については不明な点が多く残されている。本研究では,哺乳類において摂食を促進することが知られているAGRPについて,発現の組織分布やエネルギー感受性について詳細な解析を行った。その結果,ニワトリのAGRP遺伝子には進化的に保存されたプロモーターに加え,広範な組織に普遍的な発現を引き起こす第2のプロモーターが存在することが判明した。これらのプロモーターは摂食中枢の視床下部で絶食負荷に応答して発現量を増加させたが,高エネルギー食負荷では応答を示さなかった。ニワトリでは,摂食の促進系は正常であるが,抑制系の働きが弱い可能性が考えられる。哺乳類における摂食抑制ホルモンとして知られるレプチンがニワトリでは見っかっておらず,本研究成果はこのことを支持するものなのかもしれない。また,末梢で普遍的に産生されたAGRPが摂食抑制系を抑えている可能性もでてきた。今後の研究が期待される。
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Research Products
(9 results)