2007 Fiscal Year Annual Research Report
実行動下における昆虫脳神経活動のin vivoイメージング
Project/Area Number |
19570073
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小川 宏人 Saitama Medical University, 医学部, 講師 (70301463)
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Keywords | 昆虫 / キノコ体 / カルシウムイメージング / 古典的条件付け / 神経可塑性 / 嗅覚 / 連合学習 / 光学計測 |
Research Abstract |
本研究は,昆虫の行動を制御する脳・神経機能の解明に向けて,行動下にある昆虫の脳神経節の神経活動を光学的に測定することを目的とする。本年度はフタホシコオロギ脳神経節のキノコ体傘部の神経活動をカルシウムイメージングによって計測することを具体的な研究課題とした。年度前半は,これまで研究実績のある最終腹部神経節を用いて,カルシウム感受性色素の導入方法の検討を行った。その結果,多数のニューロンによる集団的な神経活動をモニタするためには,神経節のシース下にAM体色素をマイクロインジェクションする方法が最も適切であることが分かった。年度後半では以上の結果を踏まえ,脳神経節シース下にカルシウム感受性色素Oregon Green BAPTA-1 AMを注入し,その蛍光画像を観察した。キノコ体傘部は,腹部神経節に比べて神経細胞密度が高いためか,色素の浸透が十分ではなくやや蛍光が暗かった。浸透時間や注入液に加える面活性剤の濃度を調節することで改善が期待される。さらに,正立蛍光顕微鏡下にin vivoの状態でキノコ体傘部をイメージングできるプレパレーションを作成し,触角にバニラとペパーミントの匂い刺激をそれぞれ与えたときのキノコ体のカルシウムイメージングを試みた。しかし,どちらの刺激でもカルシウム応答は誘導されなかった。次に,同じプレパレーションにおいて,触覚への匂い刺激と組み合わせて,小顎に10%ショ糖溶液による味覚刺激を与え,嗅覚-味覚連合学習を行った。組合せ刺激を30秒間隔で5回与えた後,匂い刺激だけを与えたところ,味覚刺激と組み合わせた刺激に対してキノコ体にカルシウム上昇が観察された。次年度ではさらにキノコ体におけるカルシウム応答の空間パターンの解析を進め,学習とキノコ体神経活動の関連を調べていく予定である。
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