2008 Fiscal Year Annual Research Report
高温ストレスによるシンビジウム花芽の枯死を制御する分子機構
Project/Area Number |
19580029
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三田 悟 Shizuoka University, 遺伝子実験施設, 准教授 (20273170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 始 静岡大学, 農学部, 教授 (20126840)
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Keywords | 高温ストレス / NACタンパク質 / 生育障害 / エチレン / トランスクリプトーム |
Research Abstract |
夏においてシンビジウムの若芽は高温により枯死するため、シンビジウムの生産者は標高1000メートル程度の涼しい場所へ植物を移すことにより枯死を避ける。これを山上げ栽培といい、生産者にとって重労働である。シンビジウムの若芽が高温による枯死する時にCyNACl遺伝子の発現が顕著に高まるが、一方で、高温に耐性を示すシンビジウム変異体(nhn; non high temperature-induced necrosis)においては高温によってこの遺伝子の発現が高まらない。CyNACl遺伝子は転写因子をコードすると考えられ、シンビジウムの若芽の高温による枯死の過程で種々の遺伝子発現の制御と枯死の制御に関わっていると考えられる。シンビジウムCyNACl遺伝子は高温ストレスによるシンビジウム花芽の枯死を促進する形で制御しているのではないかと思われたことから、CyNACl遺伝子を過剰発現させた形質転換シロイヌナズナを作出したところ、このシロイヌナズナは非形質転換野生型株に比べて著しい生育阻害が観察され、葉の老化が促進された。以上のことから、CyNACl遺伝子の発現が植物の生育に悪い影響を及ぼすことが明らかとなり、CyNACl遺伝子がシンビジウム花芽の高温ストレスによる枯死を促進する遺伝子であると考えられた。将来、この遺伝子発現を抑制することで、山上げ栽培を必要としない新規なシンビジウムの分子育種が可能である。高温ストレスによるシンビジウム花芽の枯死を制御する遺伝子を同定するために、cDNAサブトラクション法により野生株のシンビジウム花芽の高温ストレスによる枯死の過程で遺伝子発現が増減し、また高温耐性変異株(nhn)とは異なる発現様式を示す種々の遺伝子断片を単離した。
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Research Products
(4 results)