2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片山 寛則 Kobe University, 農学研究科, 講師 (50294202)
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Keywords | イワテヤマナシ / サネナシ / ナツナシ / 在来品種 / 加工特性 / 香り / 有機酸 / 還元糖 |
Research Abstract |
岩手県を中心とした東北地方にはイワテヤマナシ由来の在来品種が多数存在する。本課題はこれらの在来品種が持つニホンナシにはない有用形質の評価と新規利用法の開発を行った。 【早晩性】22在来品種の熟期を調べた。極早生から晩生まで多様性が見られた。'ナッナシ'3個体は兵庫県加西市では7月中旬に熟す極早生だった。また12月に熟す晩生個体も存在した。極早生性はニホンナシ栽培品種には見られない形質であり今後の育種素材として期待される。 【香気特性評価】芳香性の無核果を持つ'サネナシ'香気の標準品による再構成実験を行った。16人のパネルにより'サネナシ'のAEDA分析で選抜した8種類の香気物質標準品の混合液と果実ジュースの比較により'サネナシ'の香りを人工的に再現した。セイヨウナシやリンゴとは異なる特徴的な香気成分も含まれ実用化が期待できる。 【加工特性の評価】HPLCにより有機酸、糖類の組成を調べた。pH2.8を示した'ナツナシ'の主要酸はクエン酸、リンゴ酸だった。機能性成分である高酸性の在来品種はジャムやピューレ利用など優れた加工特性を有している。含有量も'二十世紀'と比べて7倍高かった。4種類の糖含量、組成をもとに主成分分析を行い高い多様性を明らかにした。 【DNAマーカーによる同名異種、異名同種の識別】10種類の核SSRマーカーを用いて在来品種を識別した。'ナッナシ'5個体は全て遺伝子型が異なっていたが岩手県九戸村と二戸市の2個体は親子関係である可能性が高い。'サネナシ''ナシッコ''コナシ'は15個体全て遺伝子型が一致した。これらは無核のため栄養繁殖されていた。'ハンベイナシ'2個体も同一だった。 以上のようにイワテヤマナシにはニホンナシには無い有用形質が多く残されておりニホンナシ育種の母本として、また機能性食品としても利用が期待できる。
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Research Products
(3 results)