Research Abstract |
本研究は根茎球根植物である食用ハスを対象として,「根茎肥大」の要因やメカニズムについて明らかにするとともに,「肥大根茎」の低温遭遇による生理的変化について調査することにより,「根茎肥大」と「休眠」との関係を明確にし,「根茎肥大」の生態的意義を明らかにすることを目的としている. 平成20年度は,まずGA生合成関連遺伝子群の単離・同定を行った.GA生合成関連遺伝子として,GA20ox, GA3ox, GA2oxに着目し,それぞれのクローニングを行ったところ,順に2種類,1種類,1種類のクローンを単離できた. 次に無加温温室内で3週間の長日(自然日長)条件下での栽培の後,引き続いて長日(自然日長)条件下で栽培する区と短日(8hr日長)処理を行う区とを設けて3週間栽培し,処理開始後の根茎の生育とGA生合成遺伝子群の発現の様相について調査した.その結果,長日処理区では総主茎長が増加し続けたが,短日処理区では処理1週間後から伸長が緩慢になり始め,処理2週間後からは伸長がほとんど停止した.肥大指数を比較した場合,長日処理区では肥大指数が0.1以下で肥大が認められなかったのに対し,短日処理区では処理2週間後から最大肥大指数が増加し始め,処理3週間後には約0.4になり明確な肥大が認められた.GA2oxの発現を調査したところ,長日処理区では処理後の発現量が増加していたが,短日処理区では処理1週間後に一旦発現量が減少し,その後増加に転じた.GA3oXの発現を調査した結果,短日処理区では処理後の発現量が横ばいで一定であったのに対し,長日処理区では,処理2週間後までは横ばいで,その後増加に転じた.また,長日処理区では処理後に一旦GA2ox発現量が低下した後増加に転じたのに対し,短日処理区では処理後から発現量が減少し続けた.
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