2007 Fiscal Year Annual Research Report
ネギの分げつ発生制御機構におけるジベレリンの役割解明
Project/Area Number |
19580042
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
山崎 博子 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・寒冷地野菜花き研究チーム, 主任研究員 (50370614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 一郎 野菜茶業研究所, 野菜ゲノム研究チーム, チーム長 (00241852)
板井 章浩 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10252876)
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Keywords | ネギ / 分げつ / ジベレリン / ジベレリン生合成阻害剤 / ウニコナゾール |
Research Abstract |
ネギの分げつ発生制御におけるジベレリンの関与を検証するため、以下の試験を実施した。 1.ジベレリンおよびジベレリン生合成阻害剤処理が分げつ発生に及ぼす影響 葉ネギ「杭州」へのジベレリン処理は分げつの発生を促進し、ジベレリン生合成阻害剤であるウニコナゾール処理はこれを抑制した。ウニコナゾール処理による分げつ抑制効果は、その後のジベレリン処理によって打破された。 5種類のジベレリン(GA_1、GA_3、GA_4、GA_9、GA_<20>)処理はいずれも分げつ数を増加させ、分げつ芽誘導作用を有した。その作用は3β水酸化ジベレリンであるGA_1、GA_3、GA_4のうち、特に、GA_1、GA_3で強かった。 これらの結果から、ネギの分げつ発生制御におけるジベレリンの関与を強く示す証拠が得られた。分げつ芽誘導作用における活性型ジベレリンは、伸長促進などの他の作用で活性型とされている3β水酸化ジベレリンであると考えられた。 2.ネギの分げつ性と内生ジベレリン濃度との関係 分げつ性の異なるネギ6品種を材料として、葉鞘基部中のジベレリン濃度(GA_1、GA_3、GA_4、GA_9、GA_<20>、GA_<34>)を分析し、分げつ性と内生ジベレリン濃度との関係を調査した。分析の結果、ネギには早期13位水酸化ジベレリン(GA_1、GA_3、GA_<20>)に比べて早期非水酸化ジベレリン(GA_4、GA_9、GA_<34>)が高濃度に含まれ特に、多量のGA_<34>の蓄積が認められた。活性型ジベレリンと考えられるGA_4濃度と分げつ性との間に関連は認められず、むしろ、多分げつ性品種「杭州」のGA_4濃度は他の5品種に比べて低かった。一方、GA_3濃度はGA_4濃度より格段に低いものの、分げつ性の強い品種で高い傾向が認められた。 以上の試験では、分げつ性と内生ジベレリン濃度との関係を十分に解明することはできなかったため、次年度はこれを明確にするため、より局部的なジベレリン濃度の分析、また、各品種のジベレリンに対する感受性と分げつ性との関係解明を行う予定である。
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