2009 Fiscal Year Annual Research Report
コナガの抵抗性遺伝子の機能解析と防除への応用に関する基礎的研究
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19580055
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
園田 昌司 Okayama University, 資源生物科学研究所, 准教授 (00325127)
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Keywords | コナガ / 殺虫剤抵抗性 / 合成ピレスロイド / ナトリウムチャネル / 選択的スプライシング / チトクロームP450 |
Research Abstract |
1. これまでの研究で、コナガの合成ピレスロイド剤抵抗性にはナトリウムチャネルにおけるアミノ酸変異(T929IおよびL1014F)が関与していること、ナトリウムチャネルでは8箇所において選択的スプライシングが生じていることを明らかにしてきた。選択的スプライシングは構造的、機能的に多様なナトリウムチャネルファミリーを形成するために重要であることがショウジョウバエで報告されている。また、イエバエではナトリウムチャネル遺伝子の選択的スプライシングによって生じる転写物の種類と割合は発育に伴って変化することが報告されている。さらに、選択的スプライシングは薬物に対する性質の異なるナトリウムチャネルを生み出すことがゴキブリで報告されている。本年度はコナガの合成ピレスロイド剤抵抗性への選択的スプライシングの関与を明らかにするために、合成ピレスロイド剤抵抗性系統と感受性系統間で選択的スプライシングによって生じた転写物の比較を行った。その結果、コナガでもイエバエ同様、選択的スプライシングによって生じる転写物の種類と割合は発育に伴って変化し、また系統間でも異なることが示された。しかしながら、選択的スプライシングが合成ピレスロイド剤抵抗性に関与していることを示す証拠は得られなかった。2. コナガの合成ピレスロイド剤抵抗性にはチトクロームP450による解毒分解酵素活性の増大とナトリウムチャネルのアミノ酸変異による感受性の低下が関与している。しかしながら、合成ピレスロイド剤抵抗性における両機構の関連性については全く解析が行われてこなかった。そこで、合成ピレスロイド剤抵抗性への関与が明らかにされているナトリウムチャネル遺伝子のアミノ酸変異とチトクロームP450遺伝子(CYP68Gl)の発現レベルを個体ごとに室内および野外のコナガ系統を用いて調べた。室内系統におけるCYP6BGlの発現は抵抗性系統が感受性系統よりも有意に高かった。野外系統におけるCYP6BGlの発現は個体間で大きく異なっており、ナトリウムチャネルのアミノ酸変異との間に明確な関連性は認められなかった。
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