2007 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の核DNAにおける「ニセ」のミトコンドリアDNAの解析と利用技術の開発
Project/Area Number |
19580058
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
村路 雅彦 National Institute of Agrobiological Sciences, 昆虫科学研究領域・昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (20355746)
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Keywords | 昆虫 / DNA塩基配列 / 偽遺伝子 / ミトコンドリアDNA / 核酸 / 分子進化 |
Research Abstract |
イチモンジセセリ、ウリミバエおよびトビイロウンカ等の害虫種の他、クチキゴキブリ、オサムシ類、コバネイナゴおよびコセアカアメンボについて、ミトコンドリアDNA(mtDNA)から核DNAへ転移したと考えられるDNA断片(Numts)の探索を試みた。その結果、ウリミバエ、コバネイナゴ、コセアカアメンボで目的とするDNAを単離する事ができた。ウリミバエでは、Numts上にmtDNAの偽遺伝子と可動遺伝子などに特有のDNAが近接して存在する事が明かとなった。また比較的長い塩基配列が得られたコセアカアメンボについて、Numts特異的塩基配列にもとつくPCRプライマーを用いたDNAウォーキングをおこなった結果、本種のNumtsの全長は約6kbで、mtDNAのCOIIIからcytbまでのタンパク質をコードする遺伝子7個とtRNA遺伝子9個に対応する偽遺伝子を含む事が明かとなった。また本種では、異なる地域個体群に由来する2個体についてそれぞれ約15kbの全mtDNAの塩基配列を確定した。今後これらの塩基配列をNumtsと比較する事でNumtsの分子進化特性を解析する予定であるが、今までのところNumtsにはトランスポゾンの挿入やDNA重複など、mtDNAにはない特殊な変異があることが明かとなった。また異なった個体群のmtDNAとNumtsの塩基配列を近縁種のmtDNAと比較したところ、本種のNumtsは種分化のあとの個体群の遺伝的分岐が起きる以前の段階で出現した事が明かとなった。本研究期間中に多数のサンプルが入手できた、コガネムシ類,カミキリムシ類およびグンバイムシ類などについてmtDNAの遺伝的変異を調べたところ、コガネムシの一種では遺伝子により進化傾向が大きく異なる事が明らかとなった。現在Numtsの可能性を含めその進化特性を解析しているところである。
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