2008 Fiscal Year Annual Research Report
窒素固定共生系における根粒菌のバクテロイド化の分子メカニズム
Project/Area Number |
19580072
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
河内 宏 National Institute of Agrobiological Sciences, 植物科学研究領域, 特任上級研究員 (50391561)
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Keywords | 窒素固定 / 植物・微生物間共生 / バクテロイド / ミヤコグサ / Fix-変異体 |
Research Abstract |
マメ科植物と根粒菌の共生窒素固定系において、根粒菌の窒素固定活性発現制御および細胞内共生体(バクテロイド)化に関わる宿主植物遺伝子の機能を解明することを目指して、窒素固定活性に異常を来したミヤコグサFix-変異体の解析を行った。前年度、ミヤコグサcDNAアレイを用い、Fix-変異体ign1、sen1、fen1、および対照としてのΔnifH根粒菌によって形成された無効根粒の網羅的遺伝子発現データを得たが、今年度は、これらをクラスター分析等の手法を用いて詳細に解析した。その結果、sen1変異体はΔnifH菌によって形成された根粒と同様に窒素固定活性を完全に欠くが、それらの遺伝子発現変動はほぼ共通したパターンを示し、正常根粒との差は小さかった。一方、ign1やfen1変異体根粒では、それぞれの変異体に特異的な多数の遺伝子発現変動が認められた。これらの結果は、窒素固定活性が発現しないことによる窒素飢餓の影響とは別に、各変異体遺伝子の機能に関連して、宿主細胞の遺伝子発現が厳密にコントロールされていることを示している。一方、当初計画していたFix-変異体におけるバクテロイドのアレイ解析は、Fix-変異体における感染細胞崩壊(初期老化)の進行により、変異体根粒バクテロイドから高品質のRNAを分離することが著しく困難なため、断念せざるを得なかった。しかし、当初計画には含まれていない成果として、いくつかの新規Fix-変異体の原因遺伝子クローニングに成功し、それらの発現解析や変異体表現型解析を進めるとともに、Fen1遺伝子の機能について、それが細胞内共生によるバクテロイドの窒素固定酵素の発現を可能ならしめることを具体的に示す、重要な新知見を得ることが出来た。
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Research Products
(7 results)