2009 Fiscal Year Annual Research Report
細菌コロニーバイオフィルム中で特異的に起こる新規な遺伝子水平伝播現象の解析
Project/Area Number |
19580089
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
前田 純夫 Nara Women's University, 生活環境学部, 准教授 (90335472)
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Keywords | 遺伝子水平伝播 / バイオフィルム / 大腸菌 / 枯草菌 / 形質転換 |
Research Abstract |
本研究では、申請者が最近発見した大腸菌コロニーバイオフィルム中での非接合性・非ウイルス性の新規な遺伝子水平伝播現象の詳細と普遍性を明らかにすることを目的とする。三年計画の最終年度である平成21年度は、申請時計画と過去2年間の結果を踏まえ、この現象のメカニズム解明と普遍性検証を目指して、以下の3つの解析を行った。まず第一に、大腸菌コロニーバイオフィルム中での遺伝子水平伝播現象のメカニズム解析の一つとして、大腸菌遺伝子の網羅的欠失変異株ライブラリに対して、申請者が前々年度に確立した独自のハイスループット実験系によるスクリーニングを行った。その結果、遺伝子水平伝播に抑制的に働くと推定される候補遺伝子を数十ヶ選び出すことに成功した。第二に、この遺伝子水平伝播現象のメカニズムの実体と関与する因子の同定を試みた。その結果、この遺伝子水平伝播は、本質的には細胞外DNAを取り込む形質転換の一種であるが、共培養細胞からのDNA供給を必須とする新規な様式の形質転換であることを証明した。我々は、この現象を「細胞間形質転換(cell-to-celltransfbmation)」と命名した。またこの現象の発生頻度に大きく影響する因子として、新たな細菌フェロモン様因子および遺伝子水平伝播を促進するDNA配列の存在を発見した。第3に、大腸菌一枯草菌および大腸菌二酵母の各混合コロニーバイオフィルム培養系を用いた遺伝子水平伝播実験を行った。その結果、少なくとも大腸菌-枯草菌系では両方向に遺伝子水平伝播が起こることを見出し、コロニーバイオフィルム中での遺伝子水平伝播が他の細菌を含めた系でも起こりうることを証明した。一方、大腸菌-酵母の系では、試した限りの実験条件下では遺伝子水平伝播は検出できなかったが、今後さらなる検討の余地がある。
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Research Products
(4 results)