2008 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌アルカリプロテアーゼ遺伝子aprEにおけるグローバルな発現制御に関する研究
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19580094
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 暉夫 Tokai University, 海洋研究所, 教授 (10236606)
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Keywords | 枯草菌アルカリプロテアーゼ / aprE遺伝子 / scoC遺伝子 / glnA遺伝子 / tnrA遺伝子 / degR遺伝子 / sigD遺伝子 |
Research Abstract |
前年度は、細胞内の窒素量を監視しているグルタミン合成酵素(GlnA)遺伝子glnAを破壊しaprEの発現量が上昇することを見いだした。また、その原因が負の制御因子(scoCの遺伝子産物)の減少によることを明らかにした。しかし、同時に正の制御因子であるdegU遺伝子の発現上昇も観察されたがこの上昇はaprE発現には関与せず、むしろ減少をもたらすように思われた。これはscoC破壊株とscoC glnA二重破壊株のaprE発現量が、予期に反してdegU発現量の多い後者の方が少ないことから判明した。今年度は主に何故degU発現が多いのにaprE発現量が低いのかの解明を試みた。まず、現在までに分っているdegU発現またはDegUの機能に影響を及ぼすすべての制御因子の構造遺伝子とlacZ fusionを作製し、その発現量をglnA破壊株中で測定した。その結果、degR-lacZの発現量が著しく減少していることが判明した。DegUがaprE発現を上昇させるにはDegSによるリン酸化が必要であるが、DegSはリン酸化型DegUを脱リン酸化する活性も同時に持つ。一方、DegRはDegSによるリン酸化型DegUの脱リン酸化を防ぐ活性を持っている。これらの事実から、degU発現が多いにもかかわらずaprE発現が減少するのはglnA破壊によりDegRが細胞内で減少し、その結果リン酸化型DegUが減少したためと考えられる。この仮説が正しいことは、degR遺伝子を破壊したscoC破壊株とscoC glnA破壊株中のaprE発現量が同レベルであることから支持された。degR遺伝子はσ^D型RNA polymeraseによって転写される。σ^D因子をコードするsigDはその発現がglnA破壊によって著しく減少することも明らかになり、sigDがGlnA-TnrA(窒素源確保のために働く制御系)の支配下にあることがはじめて明らかになった。
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Research Products
(4 results)