2007 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳に見いだされた新規プロテインジスルフィドイソメラーゼの生理機能の解明
Project/Area Number |
19580110
|
Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 雅広 Yamaguchi Prefectural University, 共通教育機構, 教授 (10160772)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊丸 敏博 九州大学, 農学研究科, 准教授 (00284555)
|
Keywords | イネ / PDI / 胚乳 / 突然変異 / 分子シャペロン / RNAi組換え体 / MNU / プロテインボデイ |
Research Abstract |
イネ胚乳に存在するに二種類のプロテインジスルフィドイソメラーゼの生理機能を明らかにするために新規に見いだされた40kDaPDIに関する突然変異体の選抜を実施した。MNU処理して得られた突然変異体からELISA法を用いて40kDaPDIの変異体の選抜した。その結果、40kDaPDI量を野生型と比べて減少した突然変異系統を見出すことが出来たが、完全欠失した系統の選抜には至らなかった。そこで今後、遺伝子レベルでの変異を見出すため改良Tilling法を用いた選抜の実施に集中することにした。現在MNU処理突然変異体1000系統の栄養成長期の葉からDNAを調製し、改良Tilling法を用いて 40kDa PDI遺伝子の一塩基置換変異系統の選抜を実施しているが、変異系統の獲得にまでは至らなかった。 40kDaPDIのイネ胚乳における生理機能の解明をするために40kDaPDIに対するRNAi組み換え体を作出した。RNAi組換え体におけるPDIタンパク質の発現をその抗体で調べたところ60kDaPDIは野生型と変わらないが、40kDaPDIが極端に減少していることを確認した。そこでこの40kDaPDIのRNAi組換え体の胚乳プロテインボデイ形成について調べた。その結果、グルテリンを集積する液胞型プロテインボデイ(PSV)形成に対する影響は観察されないことが分かった。一方、プロラミンを集積する小胞体型プロテインボデイ(ER-PB)形成に対して変化が観察された。野生型ER-PBではシステインを多量に含む10kDaプロラミンはER-PBの中心に局在しているが、RNAi組換え体のPBでは,全体に拡散して存在していることが判明した。このことから40kDaPDIの発現の低下によってシステイン含有プロラミンの分子間S-S結合形成がうまく進行していないことが推察された。この結果からイネ胚乳40kDaPDIの生理機能が、プロラミンのS-S結合形成にあると考え、さらに40kDaPDIはABCドメインに存在するシヌテン残基のS-S結合形成を特異的に触媒する酵素ではないかと結論づけた。
|