2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規トウガラシ成分カプシエイトの生合成経路の解明と辛味発現に関与する因子の探索
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19580125
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
古旗 賢二 Josai University, 薬学部, 准教授 (70275105)
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Keywords | カプシエイト / カプサイシン / 生合成 / 安定同位体 / LC-MS / MS / カプサイシン合成酵素 / アシルトランスフェラー |
Research Abstract |
本研究課題は、カプシエイト(CST)およびカプサイシン(CAP)の生合成経路を解明し、辛味発現制御因子を探索することを目的としている。平成20年度は、1.平成19年度に引き続き、安定同位体前駆体とLC-MS/MSを用いた酵素活性測定系の確立、2.1の測定系を指標とした生合成酵素の精製・解析、3.生合成酵素をコードする遺伝子の解析を目的として実施した。 1、ではCAP合成活性測定系として、^2H、^<13>Cラベル化したバニリルアミン(VNH_2)とoctanoyl-CoAを基質として、生成物であるCAP類縁体をLC-MS/MSで測定する系を確立した。CST合成系では、生成するCSTが水系に不安定であり、反応系の改良が必要であった。 2、では、CST合成酵素とCAP合成酵素が同一である可能性が高いことから、非常に強いCAP合成活性を示したトウガラシ品種のハバネロについて、1で構築したCAP合成活性測定系を指標に、CAP・CST合成酵素の単離を試みた。ハバネロ果実の胎座をアセトン脱脂の後、トリス緩衝液で溶出させた酵素溶液は、272μU/mg proteinの比活性を有していた。これをQAE-TOYOPEARL550C陰イオン交換樹脂で処理し、非吸着画分をさらに限外濾過により10KDa以下をカットして、原液の11.4倍の比活性画分を得ることができた。 3、ではトウガラシの辛味品種、無辛味品種、そしてCSTを蓄積する品種について、CAP合成酵素でアシルトランスフェラーゼの一種をコードしていると推定されるPunl遺伝子のゲノムにおける解析と遺伝子発現を測定したところ、無辛味品種ではPunlが欠損しており、辛味品種とCSTを蓄積する品種ではPunlの発現が見られた。このことはCAP合成酵素とCST合成酵素が同一であることを強く示唆した。
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