2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19580147
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中山 勉 University of Shizuoka, 食品栄養科学部, 教授 (50150199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 剛志 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (50448700)
内藤 晶 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80172245)
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Keywords | 植物ポリフェノール / カテキン / EGCg / EGC / 固体NMR / 溶液NMR / NOE / 脂質膜 |
Research Abstract |
カテキン類の脂質膜中における立体構造・立体配置・運動性を明らかにするために、固体NMR法を用いて物理化学的に解析した。 1.固体NMRを測定するためには、立体構造や立体配置に関する情報を取得したい部位(galloyl基のカルボニル炭素)を安定同位体ラベルした13C-ECgが必要である。そこで、まず13C-gallic acidを合成し、これにECをカップリングさせて、13C-ECgを得た。 2.合成した13C-ECgを多重膜リポソーム(MLV)に作用させて固体NMR測定を行なった。31PNMR測定により、13C-ECgの存在において化学シフト異方性の値が非存在下と比較して顕著に変化した。このことから、脂質膜に作用したカテキン類はリン酸基付近の運動性や構造に影響を及ぼし、さらに脂質膜中の比較的表面付近に位置していることが示唆された。この結果は、我々が以前に報告した溶液NMRでの結果を支持している。13CNMR(static)測定では、13C-ECgのカルボニル炭素のパウダーパターンが観測された。パウダーパターンは分子の運動状態を反映したシグナルであり、今回得られた一種類のパウダーパターンより、カテキン類は脂質膜中において一種類の軸回転運動を有していることが明らかとなった。先行研究において、2H-EGCgの運動性に関する情報を得ることに成功しているが、今回の測定結果も同様の結果であった。また、13CNMR(MAS)測定によって脂質膜と相互作用したときのカテキン類の運動速度を初めて見積もることができた。 3.溶液NMRを用いた解析を発展させ、相互作用に関する新たな知見を得た。特に、13C-ECgを用いた異種核NOE測定や重水素ラベルされたリン脂質を用いた測定により、カテキン類が脂質膜表面と近接して存在しているという確かな証拠を得ることに成功した。
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[Remarks] Yoshinori Uekusa, Miya Kamihira, Takeshi Ishii, Shigenori Kumazawa, Kozo Nakamura, and Tsutomu Nakayama: Dynamic behavior of tea polyphenols interacting with lipid bilayers as determined by NMR spectroscopy. 3rd International Conference on Polyphenols and Health(Kyoto, Japan), 2007年11月26日