2007 Fiscal Year Annual Research Report
森林が斜面崩壊抑制機能を発揮する崩壊規模の実証的・解析的研究
Project/Area Number |
19580171
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 拙郎 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (50024584)
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Keywords | 崩壊地 / 樹林内堆積 / 樹林効果 / 豪雨災害 / 胸高直径 / 土砂災害 |
Research Abstract |
従来の豪雨に伴う崩壊地の研究は,崩壊の発生しやすい場所がどこかという見方から数多くの調査がなされてきた。ところが,これまで樹林内あ立木によって崩壊土砂が堆積する調査研究はほとんどなされて来なかった。これは,大崩壊に着目することが比較的多く,その場合,樹林における堆積事例が無いためであった。小崩壊でも,樹林による堆積事例は少なく,また戦後植栽された樹林の生長度合いも低く,崩壊に対して期待がもてなかったためである。平成16年の豪雨災害は,三重県宮川流域,福井県足羽川流域などにおいて目立った災害が発生した。今後は樹林の生長発達が見込まれる時期にあり,今回の調査においても崩壊後の樹林内に崩壊土砂が堆積した事例がいくつか見つかっている。 今年度は,三重県宮川調査区域と福井県美山調査区域において樹林にて発生した崩壊土砂の流下状態と堆積状態の調査研究を行った。調査にあたり,崩壊規模,斜面傾斜角,斜面平面型,胸高直径に関する特徴を把握した。その結果,堆積事例では流下事例よりも崩壊規模が小さく,樹林の胸高直径は大きいことが示された。堆砂事例と流下事例のデータは,胸高直径と崩壊深の因子を用いて整理を行った。この胸高直径と崩壊深に関する判別分析では,判別的中率73.7〜92.3%で堆積事例と流下事例を判別できることから,樹林帯の堆積に胸高直径が強く影響していることが示唆された。堆砂事例が胸高直径に強く関係するという調査結果は,今後の防災対策に示唆を与える結果である。
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Research Products
(4 results)