2008 Fiscal Year Annual Research Report
森林が斜面崩壊抑制機能を発揮する崩壊規模の実証的・解析的研究
Project/Area Number |
19580171
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 拙郎 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (50024584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 孝 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (20333635)
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Keywords | 斜面崩壊 / 土砂流出抑制機能 / 崩壊規模 / 立木堆積 / 立木転倒 / 林内堆積 / 土砂堆積 |
Research Abstract |
森林資源の利用と安全(斜面災害に対する安全)はトレードオフの関係にあり,生活に欠かせない森林資源の利用のために人工林等が伐採されれば安全性は犠牲になる。森林状態に対応した安全性の限界を見極めて,限界に達した状態で生ずる諸現象の発生を前提として利用を図ることが,リスクとベネフィトのバランスを考える上で極めて重要である。このような学術的視点と森林資源利用がもつ特性を踏まえて斜面崩壊後の土砂流出抑制機能の限界の定量化に向けた基礎的研究を行った。 本研究を実施するために斜面崩壊地に隣接して生育する樹木の各種樹林サイズ,人工林の場合は森林簿に記載されている林齢と斜面崩壊規模との関係を把握した。調査区域は,2004年に斜面崩壊が多発した三重県の旧宮川村区域,同年福井豪雨の被害地旧美山町である。この項目の検討では,崩壊規模を崩壊地の最大幅と最大深(崩壊前の地表面と考えられる位置からすべり面までの深さ)で表現し,同時に崩壊地斜面全体の傾斜角とすべり面傾斜角(最大深が得られた位置の傾斜角)を計測し,樹林内立木に崩壊土砂の堆積状況を計測する。また,崩壊地周縁部に隣接する樹木の樹種,胸高直径,樹高を計測する。この計測等の結果から,林齢,樹体サイズなどの要因から斜面崩壊規模と堆積の特徴が示され,これらの要因が森林の斜面崩壊抑制機能に与える影響が明らかにされることが期待される。主要な研究成果は次の2点である。(1)立木の平均胸高直径と崩壊深との関係図において堆積事例と非堆積事例は判別分析により区分される。この傾向は,両調査区域にみられた傾向である。(2)立木に作用する受働土圧と堆積深との関係より,堆積可能な胸高直径d_bは崩壊深Dの3/2乗に比例する関係が得られた。
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Research Products
(4 results)