2008 Fiscal Year Annual Research Report
マベガイに含まれる多様なレクチンは生体維持機能にどうかかわるのか。
Project/Area Number |
19580232
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 孝子 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 助教 (50250733)
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Keywords | 水産学 / 生理活性 / 生体防御 / 蛋白質 / バイオミネラリゼーション |
Research Abstract |
・真珠形成のメカニズムであるバイオミネラリゼーションについて検討した。マベガイの貝殻の中で、真珠を形成する部位であるアラゴナイト層を脱灰して有機マトリックスを抽出した。構成タンパク質についてイオン交換クロマトグラフィーで分析した結果、約12, 17, 22kDaの3種類が主成分として同定された。前年度に外套膜から単離されたレクチンのうち、カルシウム結晶化との関与が強く示唆されたPPL-2について、抗体を作成してwestern blottingを行なった結果、17kDaの画分が顕著に反応した。またPPL-2はin vitroで炭酸カルシウム結晶化阻害活性を示すことが明らかとなった。これらの結果は、マベガイ幼生を用いたPPL PPL-2(Pteria penguin lectin-2)のノックダウン実験においてD型幼生形成を阻害すること(前年ノックダウン実験においてD型幼生形成を阻害すること(前年度)とあわせると、PPL-2が有機マトリックスタンパク質の成分として貝殻形成に関与していることが明確になった。 ・一方、外見上真珠アラゴナイトの品質(光沢、色など)が異なる個体間で組成に変化が見られたタンパク質を陽イオン交換クロマトグラフィーで分離・精製した。このうち26kDaのタンパク質はレクチン活性を示さない新規のものであった。このタンパク質を人工海水カルサイト母液中でインキュベートした後に形成した結晶の形態と数を観察したところ、明らかな結晶形成阻害や促進は見られなかったが、結晶の大きさと形態に差が生じた。マベガイD型幼生を用いたこのタンパク質のノックダウン実験において、このタンパク質もPPL-2と同様に幼生の貝殻形成に影響を与えたことから、バイオミネラリーゼーションに関与することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)