2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホモ発酵型乳酸菌で好気的変敗を防止する試み-群集解析からのアプローチ-
Project/Area Number |
19580311
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西野 直樹 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50237715)
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Keywords | 飼料 / サイレージ / 乳酸菌 |
Research Abstract |
前年度に行ったTMRサイレージの細菌群集の解析によって、ホモ発酵型乳酸菌のLactobacillus delbrueckii、Streptococcus bovisおよびPediococcus acidilacticiに変敗抑制作用があることが示唆された。そこで、TMRサイレージからこれらの乳酸菌を分離し、トウモロコシホールクロップを用いて変敗防止能を調査した。その結果、P,acidilacticiを添加したサイレージでのみ開封後の発熱が遅延し、L.delbrueckiiとS.bovisに変敗抑制作用は認められなかった。微生物製剤の効果を一回の実験で判断することはできないため、イタリアンライグラスとトウモロコシホールクロップを材料として添加実験を繰り返した。ここではP.acidilacticiとともに頻出するL.brevisを添加菌種として選び、p.acidilacticiとL.brevisを単独あるいは組み合わせて添加実験を行った。その結果、イタリアンライグラスではp. acidilacticiの変敗抑制効果が単独添加でも確認されたが、トウモロコシホールクロップではP.acidilacticiとL.brevisを組み合わせた場合にのみ弱い変敗抑制効果が認められた。 P.acidilacticiの変敗防止能は既存の乳酸菌L.buchneriほど強力ではなく、開封後の酵母増殖をイタリアンライグラスでも抑制できていない。しかし、乳酸主体の発酵特性というホモ発酵型乳酸菌の長所は明確に示されており、開封後7日目でも乳酸含量は開封直後とほとんど変わらなかった。L.buchneriは酢酸含量を著しく高めるという欠点をもっており、そのような懸念がないP.acidilacticiはたとえ変敗防止能が中程度であってもユーザーに受け入れられる可能性がある。今後作用機序の解明を進めてP.acidilacticiの実用化を目指したい。
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Research Products
(6 results)