2007 Fiscal Year Annual Research Report
イヌアレルゲンの性状分析を通じてのイヌアレルギーのリスク評価とその制御法開発
Project/Area Number |
19580356
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鎌田 洋一 National Institute of Health Sciences, 衛生微生物部, 第四室長 (20152837)
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Keywords | イヌアレルギー / イヌアレルゲン / IgE抗体 / エピトープ / 減感作 / 組換え蛋白質 / 欠失変異体 / 点変異体 |
Research Abstract |
イヌとの共生は、ヒトがイヌアレルゲンに長期的かつ連続的曝露を受けることを示唆する。本研究ではイヌアレルゲンの性状解析を通じ、イヌアレルゲンのリスク評価を行う。さらに、アレルゲン検出法、治療・予防法を開発、イヌアレルギーの制御を目的とする。 第1研究年度である本年度はイヌアレルゲンCan f1の抗原決定基解析、欠失変異体・点突然変異体の作製を行った。申請者がクローニングしたイヌアレルゲンCall f1遺伝子の推定アミノ酸配列をコンピュータ解析した結果、N末端の1〜27(Can f1-1)、および93〜114(Can f1-2)、C末端を含む126〜148アミノ酸部分(Can f1-3)にエピトープがあることが予想された。それぞれを欠失変異体として遺伝子工学的に合成した。すなわち、全長のCan f1遺伝子が挿入されたpGEXプラスミドを鋳型に、各予想抗原決定基部分をPCR増幅し、制限酵素処理後pGEXプラスミドに挿入、大腸菌BL21(DE3)による各欠失変異体タンパク質の作製システムを構築した。各欠失変異体をグルタチオンSトランスフェラーゼが融合した形状の欠失変異体として精製した。精製した欠失変異体と、イヌアレルギー患者血清由来のIgE抗体の反応性を検討した結果、Can f1分子のN末端部分にIgE抗体のエピトープがあることを明らかにした。 イヌアレルゲンCan f1には3ケ所(52、92、143)にシステイン残基が分布する。コンピュータによる推定立体構造解析結果から52と143番のシステインが近接しているため、まず52番目のシステインについて、点突然変異技術を用いてセリンをコードする塩基に変換し、上述のpGEXプラスミドに挿入、大腸菌による点突然変異体合成システムを構築した。精製した点突然変異体をマウスに投与してもIgE抗体の産生は刺激されず、同点突然変異体がアレルゲン活性を喪失していることが示唆された。このことは、同変異体をイヌアレルギーの減感作療法や、ワクチン療法に用いることができる可能性を示唆する。
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