2008 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの潜在精巣の原因遺伝子・マーカー遺伝子の探索と遺伝子診断への応用
Project/Area Number |
19580373
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川手 憲俊 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (80221901)
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Keywords | 潜在精巣 / イヌ / エストロジェン受容体α遺伝子 / 一塩基多型(SNP) / ゲノムDNA |
Research Abstract |
平成20年度は、潜在精巣が多くみられる小型犬種(ミニチュアダックスフンド、チワワ、トイプードル)のエストロジェン受容体α遺伝子(ESR1)の3' 側末端から70kbの非翻訳(イントロン)領域のSNP解析を行い、潜在精巣例と正常例との比較を行った。 イヌのSNPデータベースを利用して、ESR1の当該領域から13ヵ所のSNP候補を選択し解析したところ、実際に多型性を示したのは4ヵ所であり、それら4ヵ所以外は多型はみられないことが判明した。さらに、それら4ヵ所のSNP以外に、データベースには記載のない5つのSNPを発見した。それらのSNPのうち8ヵ所ついて、正常例と潜在精巣例を解析し、比較した。その結果、いずれの品種においても個々のSNPの多型比率は潜在精巣と正常例で顕著な差は見られなかった。解析した8ヵ所のSNPの組み合わせ(ハプロタイプ)の比率は3品種間で異なっていたが、いずれの品種でも潜在精巣と正常例の間で顕著な差は見られなかった。また、3品種のESR1の3' 側70kbの連鎖不平衡領域を解析したところ、チワワとトイプードルのそれはミニチュアダックスフンドに比較して短いことが判明した。さらに、ミニチュアダックスフンドでは、潜在精巣のSNP#5と#14の2ヵ所組み合わせの多型比率は、正常例と異なっていた。 以上の成績から、ミニチュアダックスフンド、チワワおよびトイプードルでは、今回解析したESR1の3' 側末端から70kbの非翻訳領域には潜在精巣に特異的なSNP多型はみられなかった。しかし、潜在精巣のミニチュアダックスでは、8ヵ所のSNPのうち、2か所の組み合わせは、正常例と異なっていた。今後、ESR1の翻訳(エクソン)領域を含めた他の領域のSNP多型を解析するとともに、罹患犬精巣のエストロジェンに対する反応性についても調査する必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)