2009 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの潜在精巣の原因遺伝子・マーカー遺伝子の探索と遺伝子診断への応用
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19580373
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川手 憲俊 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 准教授 (80221901)
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Keywords | 潜在精巣 / イヌ / エストロジェン受容体α遺伝子 / 一塩基多型(SNP) / ゲノムDNA / 培養精巣細胞 / テストステロン分泌 |
Research Abstract |
平成21年度は、SNP多型の類似したミニチュアダックスフンドとチワワに限定し、例数増やして、エストロジェン受容体α遺伝子(ESR1)の3'側末端から70kbの領域の9ヵ所SNPについて、正常例(n=68)と潜在精巣例(n=40)を比較した。その結果、正常例と一側性、腹腔内、鼠径部停留例との間にはそれらのSNPのアリル、遺伝子型およびハプロタイプの頻度に顕著な差異はみられなかった。一方、両側性例(n=5)のSNP#16と#17のSNPの遺伝子型ヘテロ接合型の割合は、正常例に比べて低く、ハプロタイプ(SNP#14-17)のGTTAのホモ接合体の割合は正常例に比較して高かった。 また、小型品種の潜在精巣犬の精巣のアンドロジェン分泌に及ぼすエストロジェンの影響を正常例と比較・検討するため、精巣細胞を分散し、その細胞をhCGの存在あるいは非存在下で18時間培養し、エストラジオール-17β(E_2)のテストステロン(T)分泌に及ぼす影響を解析した。その結果、潜在精巣例(停留精巣と陰嚢内精巣)および正常例の両方とも、hCG存在下ではE_2を36.7nMまたは367nMを加えても、無添加群に比べて、T分泌の顕著な差はみられなかった。一方、hCG非存在下では、正常例精巣と潜在精巣例の陰嚢内精巣では、367nMのE_2添加により、Tの顕著な上昇がみられたが、停留精巣ではそのような上昇は生じなかった。 以上の成績から、上記の小型犬2品種の潜在精巣例のESR1の当該領域のSNPは正常例と比較して顕著な差異はみられなかった。両側性例とESR1当該領域のSNPとの関連についてはさらなる検討が必要である。また、精巣内分泌機能へのE_2の影響については、LH非存在下では、高濃度のE_2は正常例精巣のT分泌を促進するが、停留精巣では、そのような促進はみられず、エストロジェンに対する反応性は、正常例とは異なる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)