2007 Fiscal Year Annual Research Report
植物RNAウイルスの複製精度制御機構の解明-弱毒ウイルス安定化技術の構築に向けて
Project/Area Number |
19589001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Purposes
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 健 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, リサーチフェロー (60451837)
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Keywords | ウイルス / 複製精度 |
Research Abstract |
オオバコモザイクウイルス(PIAMV)の感染植物内での複製精度を測定する系を確立するに先立ち、植物RNAウイルスの感染植物内でのゲノムの多様性を比較するため、PIAMVと同じポテックスウイルス属のアスパラガスウイルス3(Asparagus virus 3;AV3)と、系統学的に離れたコモウイルス属のダイコンひだ葉モザイクウイルス(Radish mosaic virus; RaMV)について、そのゲノム塩基配列を世界で初めて決定した。AV3のゲノムは全長が6937塩基からなり、ポテックスウイルス属に特徴的な5つのタンパク質をコードしていると考えられた。AV3と、塩基配列が既知の他のポテックスウイルスとの塩基配列の相同性を比較した結果、本ウイルスはポテックスウイルス属の新規な種であることが明らかとなった。 また、並行して、2分節ゲノムを持つコモウイルス属のRaMVについて、RNA1とRNA2の全塩基配列をそれぞれ決定した。RNA1は全長6064塩基からなり、ウイルスの複製に重要なタンパク質がコードされていると考えられた。一方RNA2は全長4020塩基からなり、ウイルスの細胞間移行に重要なタンパク質がコードされていると考えられた。さらに、他の既に塩基配列が決定されているコモウイルスとの相同性から、RaMVは同属の新規な種であることが確認された。また、系統学的解析を行った結果、アブラナ科植物に感染するRaMVは、コモウイルス属の多数を占めるマメ科植物に感染するウイルス群と系統学上離れた関係にあった。植物RNAウイルスの複製精度と本年度に報告した新規なウイルスのゲノム塩基配列の多様性との関係は非常に興味深い。以上の結果は全て論文として発表した。
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Research Products
(3 results)