2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590044
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
寺田 勝英 Toho University, 薬学部, 教授 (60114302)
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Keywords | 品質管理 / 放射光 / 固体NMR / 結晶多形 / 晶癖 / 結晶転移 / 計算科学 / 晶析 |
Research Abstract |
室温付近で結晶が転移するために、準安定形の単結晶構造解析が難しいと考えられた準安定形の結晶多形の構造解析を放射光を用いた粉末結晶の構造解析を行うことにより成功した。今まで確認されていなかった新規の結晶多形である。この新規結晶多形は、温度により可逆的に構造が変わるため、粉末状で準安定形に転移する温度まで上昇させ温度をコントロールして測定することで構造解析が可能であった。この構造解析結果から、もとの安定形と準安定形とのあいだで結晶格子は一方向の軸のみほんの少し変化し、パッキングされた分子のコンフォーメーションがほんの少し変わるだけの結晶転移であった。 固体NMRによる結晶多形の転移現象を温度可変測定により行い、安定形結晶から新規結晶多形である準安定形に転移することを明らかにし、転移による末端アルキル鎖のコンフォーメーション変化に依存すると推定される支部なる変化を観察することができた。このことは、粉末X線による結晶構造解析結果による分子のコンフォーメーション変化による結果を支持するものであった。 さまざまな結晶化条件により晶癖を有する医薬品を見出し、結晶の各面からの医薬品の溶解速度を測定した。その結果、各結晶面の単位面積あたりの溶解速度は、溶解にともなう活性化エネルギーと相関し、また計算科学による付着エネルギーの大きさとも相関することが示された。このことは、原薬の溶解性を評価するのに、結晶の形状が影響することを示しており、溶解性のコントロールという立場からは、晶析条件として結晶形状を考慮して行うことの重要性を明らかにすることができた。 以上のように放射光を用いた粉末X線回折からの結晶構造解析、固体NMRによる結晶多形転移の評価、さらには熱力学と計算科学により各結晶面の分子配列の違いと溶解性の違いとの関係を明らかにすることができた。
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Research Products
(17 results)