2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体における蛋白質品質管理システムに対する-酸化窒素の病態生理学的作用
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19590051
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上原 孝 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (00261321)
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Keywords | 一酸化窒素 / S-ニトロシル化 / 小胞体 / 蛋白質成熟 / 蛋白質品質管理 / 小胞体ストレス / シャペロン / 細胞死 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに小胞体内腔に存在し,蛋白質成熟に必須な蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)ならびに変性した小胞体膜蛋白質の分解に関わるユビキチンE3酵素であるパーキンが-酸化窒素(NO)によって修飾され(S-ニトロシル化),機能不全に陥ることに起因していることを明らかにしてきた.本研究課題において,小胞体における蛋白質成熟機構とそれに密接に関係している蛋白質品質管理系に対するNOの影響を検討することを目的としている.今年度は,PDIと協調して蛋白質,とくに糖蛋白質の成熟(folding)に関わっているレクチンシャペロンに対するNOの効果を調べた.小胞体内に存在するレクチンシャペロンとしてカルレチキュリンとカルネキシンが知られている.両者がNOの基質となり得るかビオチンスイッチ法から検討したところ,外来性/内在性NOによってS-ニトロシル化されることがわかった.予想される両分子の立体構造を基にして対象となるシステイン残基の位置を調べたところ,カルレチキュリンは糖鎖結合部の近傍に,カルネキシンは糖鎖認識部位とは全く異なる位置にあることが推定された.このことから,今後はカルレチキュリンに絞り込んで研究を進めることとした.カルレチキュリンがNOによって酸化されることを精製蛋白質ならびに細胞レベルで明らかにした.さらには,脳梗塞モデルマウスにおいて優位なカルレチキュリンのS-ニトロシル化が認められた.このことから,生体内においてカルレチキュリンは活性酸素種の標的となっている可能性が示唆された.来年度は,これらの成果をさらに検証し,病態形成との関係を明らかにする予定である.
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