2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳発達に伴うGIRKチャネル機能の変化、ストレスの影響とGIRK抑制薬の作用
Project/Area Number |
19590069
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
白崎 哲哉 Kumamoto University, 医学薬学研究部, 准教授 (30264047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高濱 和夫 熊本大学, 医学薬学研究部, 教授 (80150548)
副田 二三夫 熊本大学, 医学薬学研究部, 助教 (10336216)
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Keywords | GIRKチャネル / 脳発達 / 難治性疾患 / ストレス / 中枢性鎮咳薬 |
Research Abstract |
生後2日〜14日目まで1日1時間の母子隔離ストレスを与え、成熟後の自発運動、脳内セロトニン(5-HT)およびドパミン(DA)量,クロペラスチン(中枢性鎮咳薬であり、GIRKチャネル抑制作用が最も強い低分子)によるモノアミン増加量、GIRK2チャネル発現量を検討した。その結果、自発運動と5-HTおよびDA量に有意な差は見られなかったが、不安様行動の低減、GIRK2発現量の減少とクロペラスチンによる5-HTおよびDA量増加の増強が見られた。生後2〜9日目まで1日3〜4時間母子隔離した場合も、生後10日目の体重がコントロール群に比べ有意に減少し、開眼も1日遅れるなどストレスの影響がみられた。しかし、生後10日〜15日目の背側縫線核(5-HT神経起始核)で記録した5-HT誘発GIRK電流の電流密度は、5-HT 10^<-8>M、10^<-7>M(ほぼEC_<50>)、10^<-6>M(ほぼ最大反応)いずれの濃度でも有意な差は見られなかった。また、電流電圧関係にも大きな影響は見られなかった。ただし、膜容量が17pF以下の小型の細胞で、5-HT誘発GIRK電流が見られない確率が高くなっている傾向が示された。今後、クロペラスチンなどの作用強度も含めさらに検討する必要がある。一方、陰性症状に一定の効果を持つ統合失調症治療薬でクロペラスチンに次いで5-HT誘発GIRK電流を強く抑制するカルピプラミンのGIRKチャネルサブタイプ選択性を検討した結果、GIRK1/2およびGIRK2/2チャネルに対して、クロペラスチンとほぼ同じか、さらに強い抑制作用がみられた。クロペラスチンとは異なり、定常GIRK電流とエタノール誘発GIRK電流に対する抑制作用がほぼ同じ濃度で見られたことは興味深い。この違いは、薬理作用の違いと関係があるかもしれない。
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