2007 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態変動機構評価を目的とする探索的臨床試験のデザインおよびデータ解析
Project/Area Number |
19590139
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
橋本 征也 University of Toyama, 医学薬学研究部(薬学), 教授 (90228429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 雅登 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 講師 (20324056)
能澤 孝 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (00180737)
藤木 明 富山大学, 大学病院, 講師 (90181338)
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Keywords | 薬物動態 / 臨床試験 / 個別投与設計 / 採血デザイン / ピーク・トラフ |
Research Abstract |
医薬品を適正に使用するにあたっては、臨床薬物動態特性と個体間変動機構を明らかにし、患者個々に投与設計を行うことが必要である。一方、薬物個別投与設計を遂行する上で不可欠であるにも拘わらず最も企画と実施が困難なものの一つは、実際に薬を服用している患者を対象とした臨床薬物動態試験である。すなわち、一人の患者から速度論的解析に耐えるほど数多くの血中薬物濃度データを得ることは多くの場合困難であることに加え、市販後に一施設で行う臨床薬物動態試験では、対象患者が多くても数十人に限られる。このような血中濃度データの処理に対しては、従来の速度論的解析法は適用が難しく、臨床試験の成否の目処を立てることが困難であった。これまでに申請者らは、症例数および採血ポイントが少ない探索的な臨床試験データの解析法として1)単純な速度論モデルによる母集団薬物動態(PPK)パラメータの推定、2)PPKパラメータを事前情報としたベイジアン解析による個人の動態パラメータの推定、3)動態パラメータに及ぼす影響因子の統計学的評価、から成る三段階の解析法が有用であることを見出した。そこで本研究では、小・中規模の探索的臨床試験における三段階のデータ解析法の有用性を検証するとともに、データ解析法をさらに発展させることを目的としたシミュレーションを行った。その結果、薬物を繰り返し服用中の定常状態を仮定した場合、ピーク・トラフの2点採血データから個々の患者の動態パラメータを簡便に推定可能であることが明かとなった。これらの結果は、症例数および採血ポイントが少ない薬物動態試験デザインの臨床的有用性を示唆するとともに、個別投与設計への応用時の基盤情報になると考えられる。
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