2008 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺における性ステロイド産生とその生理学的意義の分子形態学的解明
Project/Area Number |
19590177
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
鶴尾 吉宏 Wakayama Medical University, 医学部, 教授 (90207449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30315931)
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Keywords | 性ステロイド / ステロイド代謝酵素 / 甲状腺 / 濾胞上皮細胞 / 傍濾胞細胞 / 形態学 |
Research Abstract |
2つの甲状腺ホルモン(サイロキシン:T4、トリヨードサイロニン:T3)は甲状腺濾胞上皮細胞から、またカルシトニンは傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されることが知られている。甲状腺ホルモンは基礎代謝の亢進やエネルギー代謝の促進作用を示し、体成長と脳神経細胞の発達に必須であり、甲状腺からの分泌ホルモンであるカルシトニンは骨代謝に関与する。甲状腺ホルモンとカルシトニンは生体機能調節に重要なホルモンであるが、これらの甲状腺での合成と分泌は、他のステロイド標的器官と同様に、生殖腺から分泌され血行性に到達する性ステロイドによって調節されるものと信じられていた。しかし我々は今回の研究で甲状腺内に性ステロイド代謝酵素が発現することを確認し、甲状腺ホルモンが甲状腺内で合成される性ステロイドによって機能調節される可能性を見出した。つまり、Wistar系のラットの甲状腺濾胞上皮細胞とC細胞に、アンドロゲン代謝に関与するアロマターゼと5α-リダクターゼの発現を免疫組織化学的に検出した。また生後2週から11週までの雌雄動物と授乳中の雌動物を使用することによって、アロマターゼは生後2週からの雌雄で濾胞上皮細胞とC細胞に同程度に発現し、成熟に伴って傍濾胞細胞の免疫染色性が増加した。C細胞の免疫染色性は授乳中の雌で増強した。5α-リダクターゼも同様に濾胞上肢細胞とC細胞に同程度に認められたが、免疫染色性は成熟経過に伴い低下した。両酵素とも免疫染色性は雌の方が強かった。これら以外のステロイド代謝酵素についても免疫組織学的に検討を加えて、P450scc、3β-HSD、CYP17、3α-HSDなどが濾胞上皮細胞とC細胞に発現し、各々の酵素が特徴的な発現パターンを示すことを確認した。
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Research Products
(5 results)