2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590252
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 了三 Kyushu University, 大学病院, 教授 (90112325)
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Keywords | 抗菌薬 / アムホテリシンB / 腎障害 / MAPキナーゼ / カルシウム / ミトコンドリア |
Research Abstract |
(研究目的)ポリエン系抗真菌薬であるアムホテリシンBは、深在性真菌症の治療に広く使用されているが、毒性が強く、低カリウム血症や心不全、急性腎不全などを引き起こすことが知られている。特に、腎障害の発現頻度は非常に高いが、アムホテリシンBによる腎障害の詳細な発現機序は解明されておらず、有効な予防策も確立されていない。本研究では、昨年度の研究において作製したin vitro評価モデルを使用して、アムホテリシンBによる腎障害発現機序の詳細にっいて、さらなる検討を行った。 (研究方法)アムホテリシンBをブタ近位尿細管由来LLC-PK1細胞に曝露することで細胞障害を誘導し、WST-8法および乳酸脱水素酵素(LDH)活性測定法により、細胞生存率を測定した。p38MAPキナーゼおよびJNK、ERKの発現変化は、それぞれに特異的な抗体を用いて、ウェスタンブロット法により評価した。 ミトコンドリア機能の評価にはミトコンドリア膜感受性試薬JC4を用いた。 (研究成果)アムホテリシンBにより引き起こされたLLC-PK1細胞の障害は、JNK阻害剤のJNK inhibitorIIおよびERK阻害剤PD98059の併用により完全に抑制された。一方、p38MAPキナーゼ阻害剤PD169316の作用は部分であったが、有意な保護効果を示した。また、アムホテリシンB曝露により、p38、JNKおよびERKのリン酸化体が顕著に増加した。加えて、アムホテリシンBによるミトコンドリア機能異常を、ミトコンドリアのNa^+/Ca^2+交換体阻害剤CGP37157やミトコンドリアCa^2+単輸送体阻害剤ルテニウムレッドのみならず、MAPキナーゼ阻害剤が顕著に抑制した。 以上の結果により、アムホテリシンBによる腎細胞障害の発現には、細胞内Ca^2+の上昇の他に、MAPキナーゼの活性化が重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)