2007 Fiscal Year Annual Research Report
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19590365
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 Kitasato University, 医療衛生学部, 准教授 (30178793)
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Keywords | 肺癌 / 肺癌患者血清 / 自己抗体 / CK18 / villin-1 / シスプラチン / 抗癌剤感受性 / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
腫瘍関連自己抗体の有無は肺癌患者血清を一次抗体として肺の腺癌(AD)、小細胞癌(SCLC)、大細胞性神経内分泌癌(LCNEC)、扁平上皮癌(SCC)由来細胞株の細胞抽出液を用いて一次元、もしくは二次元免疫プロット法で検討した。その結果、cytokeratin18とvillin-1に対する自己抗体の存在がADとSCLC患者血清から同定された。さらに、cytokeratin18とvillin-1に対する精製抗体を用いて、124例の各種肺癌組織を免疫染色した。その結果、cytokeratin18の発現はほとんどの症例で認められたが、染色スコアはADとLCNECでSCCやSCLCに比して統計学的に高い傾向が認められた。一方、villin-1の発現はADやLCNEC症例ではそれぞれ61.8%、38.6%で陽性を示したが、1例のSCLCの弱い染色を除いてその他では陰性であった。さらに、LCNECでは膜状に陽性を示し、同じ神経内分泌肺癌であるSCLCとの鑑別に有用であることが確認された。また、villin-1は消化管からの転移性肺癌に有用なマーカーであるとの報告があるが、今回の検討から原発性ADでも半数例以上の症例で陽性を示すことから、必ずしも転移性肺癌のマーカーとして有用ではないことが証明された(論文投稿中)。肺癌の標準的化学療法としてシスプラチンやカルボプラチンが中心の多剤併用療法が用いられているが、その効果は未だ不十分である。シスプラチン感受性を予測する分子を網羅的に解析するために、シスプラチン耐性LCNEC由来細胞株2株を樹立し、その親株とのタンパク発現プロファイリングを行った。その結果、両細胞株で共通して変化する24個を含めた合計で201個の発現量が変化するタンパク質を見出した。これら分子は抗癌剤感受性の結果が出ている肺癌組織の生検材料を用いて、さらに検討する予定である。
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