2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590365
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 Kitasato University, 医療衛生学部, 准教授 (30178793)
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Keywords | 網羅的抗体作製 / 肺癌 / 免疫ブロット法 / basigin / 免疫染色 |
Research Abstract |
網羅的に肺の小細胞癌細胞株、大細胞性神経内分泌癌細胞株、腺癌細胞株を免疫源にランダム免疫法で作製した1,172の抗体に関して、免疫プロット可能か否か検討した。対象は4つの代表的な組織型の細胞株(小細胞癌、大細胞性神経内分泌癌、腺癌、扁平上皮癌由来)でそれらのライセートとの反応を確認した。その結果、187抗体(16.0%)で明らかなバンドが確認された。この中で、細胞ごとに分子量が異なる、もしくは発現量が異なる、両方の特微を有する抗体は16種類見出された。その中で、No.97は60kDa付近と40kDa付近にそれぞれの細胞株で分子量がそれぞれ異なっていた抗体で、免疫沈降法で、この抗体が認識するタンパク質はbasiginであることが明らかとなった。この抗体は腫瘍細胞の細胞膜に局在している分子であり、肺癌組織を染色した結果、非腫瘍性肺組織では気管支上皮細胞に弱い飯能が見られるが、肺癌組織では、組織型に関係なく、様々な腫瘍細胞の細胞膜に強い発現が認められる。また、腺癌組織では腫瘍の分化度の低下に伴って発現が亢進する傾向を示し、高分化型に比して、中分化型、低分化型では統計学的有意差を持って染色性が亢進していた扁平上皮癌では腫瘍の分化度に伴って、発現が亢進する傾向を示した。また、扁平上皮癌ではNOに比して、N1,N2と進行して行くに従い、発現が低下する傾向を示し、NOとN2との間には統計学的有意差が認められた。この抗体は、肺癌におけるステージやリンパ節転移の有無を予測出来るマーカーの一つとなり得る可能性があり、肺癌症例における免疫プロット法の検討を含めたさらなる検討が必要と考えられた。
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