2007 Fiscal Year Annual Research Report
病理解剖症例を用いた粥状動脈硬化症と炎症性サイトカイン遺伝子多型の関連解析
Project/Area Number |
19590377
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
沢辺 元司 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 研究員 (30196331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 正明 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50230008)
田中 紀子 理化学研究所, 次世代計算科学研究開発プログラム, 研究員 (10376460)
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Keywords | 循環器・高血圧 / ゲノム / 病理学 / 免疫学 / 老化 |
Research Abstract |
1.粥状動脈硬化症に関する喫煙感受性を規定する遺伝子多型 目的:喫煙は粥状動脈硬化症の重要な外的危険因子であるが,喫煙感受性を規定する遺伝的要因については知られていない.対象・方法:対象は東京都老人医療センターの連続剖検例,1,503例(男女比=1.16:1)で,死亡時平均年齢は80.3歳である.対象例の喫煙歴は男性で70%,女性で22%であった.24遺伝子,34SNPについて解析した.病理学的粥状硬化度・狭窄度は全身の10動脈を肉眼的に半定量的に評価した.結果:34SNPの内,7SNPは一つの動脈系において,2SNPは二つの動脈系において有意な交互作用を認めた.MTHFR Ala222Val(677C>T)多型では4動脈において有意な交互作用を認め,677TTホモはヘテロ,CCホモと比較し喫煙に関する粥状硬化症の感受性が高かった.考察:禁煙は全ての喫煙者に必要であるが,MTHFR 677TTホモでは,粥状硬化症の進行を防ぐ観点から特に重要である.遺伝子多型解析が喫煙指導の一助になる可能性が示された. 2.脳梗塞関連候補遺伝子多型と粥状硬化症の関連解析 目的:脳梗塞関連候補遺伝子多型が全身の粥状動脈硬化症の遺伝的リスクになるとの仮説を立ててこれを検証した.対象・方法:対象と粥状動脈硬化症の解析方法は上記と同様である.遣伝子多型解析はMultiplex-PCR-Luminex法を用い14遺伝子多型について解析した.結果:IL6 572G>Cは冠動脈疾患のリスクとなっておりオッズ比(95%CI)は1.87(1.35-2.59)であり,AKAP10 Ile646Valは脳血管障害の陰性リスクとなっていた.IL6 572G>Cは脾動脈硬化症のリスクとなっておりオッズ比(95%CI)は1.56(1.18-2.08)であった.またAKAP10 Ile646Valは総腸骨動脈硬化症の陰性リスクでありオッズ比(95%CI)は0.68(0.51-0.90)であった.頭蓋内動脈硬化度はいずれの多型とも有意な関連を認めなかった,考察:今回の解析ではIL6 572G>Cが粥状動脈硬化症のリスクであり,AKAP10 Ile646Valが陰性リスクである可能性が示唆された.IL6は巨核球成熟促進作用を有しており.血小板を介した粥状動脈硬化症進展の可能性が示唆された.AKAP10は長寿関連遺伝子としての報告もあり,脳梗塞を介した長寿との関連が示唆された.
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Research Products
(16 results)