Research Abstract |
黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンA(SEA)は菌体外タンパク質で嘔吐誘導活性を示す一方、スーパー抗原活性を有することが知られている。しかし、SEAによる食中毒のメカニズムはまだ明らかにされていない。本年度の研究では これまで作製したmSEAの抗原性, スーパー抗原活性及び嘔吐活性について詳細な検討を行った. 作製したmSEAはいずれも抗SEA抗体とび反応した. ヒトPBLに対し, mSEAのN25G, F47G, C96G, C106A, H187A, H225AとD227Aの細胞増殖活性及びIL-2, IFN-γとTNF-αの産生誘導活性が顕著に低下し, スーパー抗原活性が明らかに欠損した. スンクス嘔吐実験において, F47G, F47S, H61D, H187A, H225A及びD227Aは明らかに嘔吐誘導活性が減少した. また, SEAD227AをAlumアジュペントとともにスンクスに皮下免疫し, 血中抗体の産生及びSEA投与による嘔吐に対する抑制効果を調べた. さらに, SEAの嘔吐活性とスーパー抗原活性に対する血中抗体の中和活性を検討した. SEAD227Aで免疫したスンクスでは, 抗SEA特異抗体が上昇していた. また, 免疫したスンクスはSEAの経口または腹腔内投与による嘔吐反応に対し, 顕著な抑制効果を示した. さらに, SEAD227A免疫血清はin vitroでSEAによるリンパ細胞の増殖誘導に対し明らかに中秘活性を示し, in vivoでもSEAによる嘔吐反応を有意に抑制した. これらの結果から, SEAD227Aの免疫はSEAによる嘔吐に対する予防効果を誘導することが示唆された. また, 抗SEA抗体は本毒素による食中毒に対する治療効果があると考えられる.
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