2008 Fiscal Year Annual Research Report
緑膿菌多剤排出ポンプを阻害する抗体及び有機低分子化合物の開発
Project/Area Number |
19590458
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
良原 栄策 Tokai University, 医学部, 准教授 (70167063)
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Keywords | 緑膿菌 / 感染症 / 多剤耐性化 / 多剤排出ポンプ / 阻害剤 / MexAB-OprM / 細胞外ループ / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
現在使用されている抗生剤に耐性化した病原細菌の出現が、細菌感染症を再び大きな問題にしている。その中で、日和見感染症の主要起因菌である緑膿菌は多剤耐性を示すので、特に問題となっている。本菌の多剤耐性化因子に多剤排出ポンプ、MexAB-OprMがある。我々はこのポンプを阻害することで本菌の多剤耐性の抑制を目指した。そのために、MexAB-OprMの唯一外界に接する外膜チャネルであるOprMに着目した。OprMは細胞外に出た二か所のループを持つが、このループがポンプ機能に重要である事を明らかにしてきた。 そこでこれらループの働きを抑えることでポンプを阻害することを考え、ループに対する抗体の作成を行った。その際、二つのループのなかで、より重要な役割を果たすループ2に対する抗体を作成することにし、ループ2と同じアミノ酸配列をもつペプチドを合成し、抗原とした。その結果、10数種類のモノクローナル抗体(mAb)を得ることができた。これら抗体はELISAでペプチドに結合することが確かめられた。 次に抗体産生細胞の培養上清を集めて、proteinLカラムを用いてmAbを精製し,ポンプ阻害活性を有するかを調べた。サブMIC濃度にある抗生剤存在下で緑膿菌にmAbを加えた時、菌の生存に及ぼす影響を検討した。その結果、mAbは菌の生存率を減少させ、その作用は濃度依存的であることが分かった。これはmAbがポンプを阻害して、菌を感受性化したことを示すものである。そしてポンプ阻害活性を有するmAbが数種類あることを見出している。それらmAbの間で阻害活性の違いがみられるので、最適のmAbを調製するための研究を続けている。 将来このような効率的なmAbを多剤耐性菌の治療に応用したいと考えている。
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