2009 Fiscal Year Annual Research Report
DPCを用いた臨床経済的評価の病院マネジメントへの応用に関する研究
Project/Area Number |
19590524
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
恩田 光子 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 准教授 (60301842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 行生 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50379161)
廣谷 芳彦 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (00351487)
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Keywords | DPC / 薬剤経済 / 病院管理 |
Research Abstract |
本年度は、前年2年間にわたり4つの急性期病院から収集したDPCデータを用いて、病院間ベンチマーキングおよび、年次比較を行った。病院間ベンチマーキングでは、肺炎治療における抗菌剤の使用状況を比較し、抗菌剤の使用が病院の財政面に与える影響について検証した。具体的には、入院期間ごとに、DPC導入により増収した患者の割合、増減比(包括報酬額/出来高換算報酬額)、各医療行為の報酬が出来高換算報酬総額に占める割合を比較検討した。また、抗菌剤の使用動向、入院期間区分ごとの出来高換算報酬および注射総額の平均値、出来高換算報酬総額に占める注射総額の割合(以下「注射比率」とする)、増減比を一覧し、抗菌剤の使用状況と病院の増減収との関連について比較検討した。 抗菌剤の使用動向を入院期間別に比較すると、いずれの病院においても入院の経過とともに変化が見られ、増減比が高い病院ほど注射比率が低い傾向が認められた。したがって、当該DPCコードでは、抗菌剤の使用動向が病院の財政面に影響を与えていることが示唆された。 年次比較では、調査協力病院全体の2006年および2007年の肺炎患者の症例データを用い、抗生剤の使用状況について年次比較を行い動向変化について検討を行ったところ、両年において抗菌剤の選択や使用方針を変更している病院と、比較的同様の使用動向を示す病院があり、一定のトレンドを見出すことはできなかったが、全入院期間における第四セフェム系薬剤の使用率(薬価ベース)は増加傾向にあった。また、入院期間別の注射比率について両年を比較すると、2006年では入院初期の注射比率が低く、入院期間が長くなるにつれて注射比率が高くなっていたのに対し、2007年では逆の傾向が示唆された。今後は、抗菌剤の使用動向と病院経営への関連について精査し、DPCデータを病院マネジメントに適用する上での意義と課題について総括する予定である。
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