2007 Fiscal Year Annual Research Report
高温曝露時(熱中症)における脳・心臓の急性反応の形態学的・分子生物学的検索
Project/Area Number |
19590671
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
那谷 雅之 Mie University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70241627)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 裕匡 三重大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50363338)
|
Keywords | 熱中症 / heat shock protein(HSP)70 / Bcl-2 / Bax / inducible nitric oxide synthase(Inos) / α-myosin heavy chain (MHC) / β-MHC / α-skeltal actin |
Research Abstract |
熱中症に対する法医学的診断としてHeat Shock Protein(HSP)等のストレス蛋白を高温曝露の証明とする試みがあるが,これらの蛋白は高温曝露以外にも発現し,その評価は困難である。高温曝露時における各臓器の反応が法医学的に重要であり,熱がどの臓器にどの程度影響を及ぼし,その結果どの臓器が直接死亡に関与しているのかが熱中症の法医病理学的病態解明の第一と考える。我々が行っている高温暴露モデルラットを用いた研究の中で直腸温が44℃になると突然徐脈となり心停止する現象を見いだした。そこで,本研究では,この現象が熱の心臓に対する直接作用なのか脳幹循環中枢を介した抑制効果なのか,他の機序によるものかを検討することを含めた,熱に対する脳および心臓の急性反応を形態学的、分子生物学的に検索し,高温曝露時(熱中症)の死亡に至る機序を解明することを目的とした。10週齢雄ラットを高温多湿環境下に置き,直腸温がそれぞれ40℃,42℃,44℃に達したところで心臓を摘出し,左心室自由壁筋よりmRNAを抽出,cDNA合成後,heat shock protein(HSP)70,Bc1-2,Bax,inducible nitric oxide synthase(Inos),α-myosin heavy chain(MHC),β-MHC,α-skeltal actinの7種類の遺伝子の発現量をRea1-time PCR法を用いて定量した。その結果,直腸温の上昇と共にHSP70mRNAの発現量は増加傾向にあった。一方,42℃から44℃に上昇する間にBc1-2mRNA/Bax mRNAは有意に減少し,β-MHC mRNAの発現量は有意に増加した。すなわち,過度の体温上昇は直接的もしくは間接的に心筋の形態学的障害および機能的障害を引き起こす可能性を示唆しているものと考える。
|
Research Products
(5 results)