2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児・配偶者・高齢者に対する虐待の法医病理学的証明に関する研究
Project/Area Number |
19590677
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小片 守 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10152373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 敬人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (40512497)
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Keywords | 社会医学 / 細胞・組織 / 損傷 / ミエロペルオキシダーゼ / 副腎皮質 / 虐待 / 小児 / 高齢者 |
Research Abstract |
1.Myeloperoxidase (MPO)をマーカーとした白血球動態の比較検討 MPOは広範な外傷及び続発した外傷性ショック・出血性ショックのマーカーとして注目されている。小児・高齢者に対する身体的虐待によって白血球が各臓器に浸潤するか否かをMPOをマーカーとした免疫組織化学によって検討した。小児虐待においては,心臓,肺,肝臓,腎臓ともにMPO陽性細胞数が対照例に比して有意に高値を示した。高齢者虐待においては,肺,肝臓内のMPO陽性細胞数が対照例に比して有意に高値を示した。したがって,虐待にみられる広範かつ新旧混在した外傷によって,白血球が各臓器内に浸潤し,臓器機能に影響を与える可能性が示唆されたと考える。 2.高齢者虐待に基づく胸腺・副腎の変化に関する検討 小児虐待によって胸腺の退縮が起こることはよく知られている。今回,高齢者虐待による胸腺・副腎重量の変化を検討した。胸腺・副腎の重量,相対重量(副腎重量/体重,副腎重量/身長)のいずれも,虐待例・対照例の間に有意差を認めなかった。しかしながら,副腎の重量,相対重量を虐待期間別に検討したところ,3か月以上虐待例では有意差を認めなかったものの,3か月未満虐待例ではいずれも対照例に比して有意に高値を示した。組織病理学検査では,虐待例において副腎皮質の特に束状帯に得酸性細胞が対照例よりも増加し,細胞内の脂肪量が低下している所見が認められた。おそらくは虐待ストレスに基づいて糖質コルチコイドの形成が増加し,材料とたるコレステロールの含量が減少したためと考える。
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Research Products
(5 results)