2007 Fiscal Year Annual Research Report
胃食道逆流症における神経成長因子と侵害受容器に関する研究
Project/Area Number |
19590729
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 憲正 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (30166962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 博史 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 准教授 (30153373)
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Keywords | 食道 / 侵害受容器 / 知覚過敏 / サブスタンスP / TRPV1 / 神経成長因子(NGF) / 逆流性食道炎 / NERD |
Research Abstract |
近年、内視鏡検査にて粘膜病変を認めないが強い胸焼け症状を呈する機能性疾患(非びらん性胃食道逆流症(NERD)が増加している。 NERDの自覚症状発現の機序は不明であるが、本症患者では食道粘膜の知覚過敏の存在が指摘されている。本研究では、食道知覚過敏のメカニズムを解明する目的で以下の検討を行った。 1)NERD患者の食道粘膜より生検を行い、粘膜中のサブスタンスP(SP),CGRPのタンパク、および酸感受性侵害受容器TRPV1,ASIC3のmRNAおよび免疫組織染色を行った。その結果、NERD患者では食道粘膜内のSPタンパクおよびTRPV1mRNAの有意な増加を認めた。免疫染色では粘膜直下固有層までSPおよびCGRP陽性神経の伸長がみられた。胸焼け症状の強さとSP濃度の間には有意な正の相関が認められた。ASIC3およびCGRPに関してはNERD患者と正常者の間に有意な変化を認めなかった。 2)バルーンを用いてラットの食道胃接合部に塩酸を直接暴露して、食道粘膜中のSP,神経成長因子NGF, TRPV1を測定した。その結果、酸暴露により、粘膜中のSPおよびNGFタンパクの増加、TRPV1mRNAの発現亢進が認められた。TRPV1拮抗剤であるカプサゼピンの前処置により酸刺激による食道粘膜内SP増加は有意に抑制されたが、NGFには変化が見られなかった。 以上の結果,NERDの知覚過敏にはTRPV1依存性のSP増加が関与していること、SPおよびTRPV1の増加にはNGFが関与していることが示唆された。今後、食道粘膜内のみならず、食道の知覚神経が連絡する脊髄後根神経節でのTRPV1, SP, NGFの変動を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)