2008 Fiscal Year Annual Research Report
胃食道逆流症における神経成長因子と侵害受容器に関する研究
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19590729
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 憲正 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (30166962)
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Keywords | 食道 / 侵害受容器 / 知覚過敏 / サブスタンスP / TRPV1 / 神経成長因子(NGF) / 逆流性食道炎 / 脊髄後根神経節 |
Research Abstract |
【目的】われわれは、平成20年度においてNERD患者の食道粘膜内で酸感受性侵害受容器であるtransient receptor potential vanilloid receptor subtype1(TRPV1)およびTRPV1刺激により神経終末より放出されるsubstance Pが増加し、胸焼け症状の強さと相関することを報告した。最近、炎症細胞、肥満細胞などから産生される神経成長因子NGFがTRPV1の産生を高め、末梢での熱や痛みの感受性を亢進させることが示唆されている。今回、ラットの食道に酸を直接暴露させるモデルを作成し、食道粘膜および脊髄後根神経節(DRG)におけるNGF/TRPV1/substance P発現を検討し、酸と食道知覚の関係について考察した。【方法】Wistar系雄性ラットに先端バルーン付きカテーテルを経口的に挿入し、pH1の塩酸または生理食塩水をカテーテルの側孔より食道内に注入し、胃噴門直下でバルーンを拡張させることにより注入液を食道内に留まらせるようにした。薬剤を回収後食道粘膜およびDRG(Th7-9)を採取し、substance P、CGRP、TRPV1、NGFの変化を定量的に評価した。さらに、免疫染色にて、DRGでのTRPV1およびsubstance P発現を検討した。【成績】ラット食道粘膜にpH1の塩酸を暴露することにより、食道粘膜およびDRGにおいてTRPV1のmRNAおよびタンパクの発現増加、substance Pタンパク増加を認めた。免疫染色ではDRG神経細胞体の細胞質内にTRPV1、substance P発現を確認した。NGFタンパクも食道粘膜内およびDRG内で増加していた。TRPV1拮抗剤の投与はsubstance P発現を抑制した。【結語】今回の研究の結果、食道粘膜への酸暴露により、食道粘膜およびDRGでのTRPV1依存性の神経炎症が惹起されることが明らかとなり、食道粘膜の知覚過敏における酸とTRPV1の重要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)