2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンの輸送・代謝機構からの胃癌の病態生理の解明
Project/Area Number |
19590733
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
渡邉 俊雄 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (50336773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 和秀 大阪医科大学, 第二内科, 教授 (20218697)
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (40285292)
富永 和作 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80336768)
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Keywords | 癌 / 増殖 |
Research Abstract |
各種消化器癌の病態にcyclooxygenase(COX)-2あるいはCOX-2由来のprostaglandin(PG)E_2が深く関与しているが、近年PGE_2の代謝酵素である15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase(15-PGDH)の発癌機構における役割が注目されている。平成19年度において我々は胃癌切除標本を用いて15-PGDHの発現を検討した。その結果、15-PGDHの発現は細胞質に局在し、正常粘膜、胃炎粘膜、胃癌組織の順に低下することが判明した。また、本酵素の発現と予後とは正の相関が、癌組織の増殖能(Ki67陽性率)や分化度は負の相関が認められた。さらに、蛍光二重染色法により15-PGDH発現低下部ではKi67陽性胃癌細胞が多く局在することが明らかになった。一方、In vitroの検討では各種胃癌細胞株における本酵素の発現をmRNA(RT-PCR法)ならびびタンパク(western blot法)レベルにおいて確認した。胃癌細胞株のなかでAGSとMKN45は15-PGDHタンパクを発現していたが、MKN7、NUGC3およびNCI-N87においては発現が消失していた。これらの15-PGDHタンパクの発現とmRNAの発現は一致しており、本酵素の発現が転写レベルで制御されていることが判明した。以上の結果から、15-PGDHは胃発癌機構に深く関与し、癌の発育進展、悪性度、さらには生命予後に影響を及ぼしている可能性が示唆された。今後は発現消失機序などを遺伝子のメチル化などに焦点を合わせて検討し、発現誘導剤などの新たな薬剤の開発に着手する予定である。
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Research Products
(1 results)